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教育関係三法「改正」法成立に対する会長声明

2007年06月21日

東京弁護士会 会長 下河邉 和彦

 昨日、学校教育法、地方教育行政組織法、教育職員免許法などの教育関係三法「改正」法が、多くの問題を先送りしたまま成立した。
当会では、教育三法の改正が、かえって、子どもの学習権の保障に反することになりかねず、いじめなどの重大な人権侵害の状況をさらに深刻化させかねないなどの重大な問題をはらむものであるとして、慎重な審議を求めてきたところであるが、当会が特に表明した問題を含め、衆議院で11項目、参議院では22項目にも及ぶ附帯決議がなされたことが、その拙速に過ぎることを示しており、誠に残念である。
特に、附帯決議が指摘する、不適切教員の認定には公正かつ適正な認定が行われるよう努めること(衆議院)、各学校が、多様な子どもの実態や地域の状況を踏まえた創意工夫ある教育課程の編成を通して、学校種ごとの目標を達成できるようにすること(参議院)、教員の多忙化を解消し、子どもと向き合う時間を増やすなど教育の充実のため教職員定数の改善に努めること(参議院)、学校評価の結果が学校の序列化につながらないよう留意すること(参議院)などの諸問題について、運用面に任せられるだけに留まったことについては、大きな危惧を抱かざるを得ない。
当会は、今後も、これらの点を含めて、「改正」教育三法の施行細則の制定やその運用において、子どもの学習権が保障され、かりにも教育現場における人権侵害という事態を引き起こすことのないよう、取り組みを続けるものである。