東京弁護士会

消費者が主役となる消費者のための消費者行政新組織の実現を求める会長声明

2008年05月27日

東京弁護士会 会長 山本 剛嗣

 当会は、「21世紀型の消費者政策の在り方について・中間報告」についての意見書(2003年3月24日)において、「消費者の権利擁護を根幹とする消費者行政を実現するためには、国は消費者行政の担当部局を産業育成省庁から分離独立させ、統合させるべきである」との意見を表明し、消費者保護基本法改正についての会長声明(2004年2月24日)においても、「消費者政策の一元化と徹底のために、産業育成官庁とは異なる単一の消費者政策官庁に集中して管掌させるべく、抜本的な制度改革を実施するとの方向性を基本法の中に盛り込むべきである」との声明を行った。

 この課題に対し、福田康夫内閣総理大臣は、昨年9月就任以来、一貫して、消費者・生活者重視への政策転換、消費者行政の一元化・強化の方針を打ち出してきた。そして、消費者行政新組織の創設に向けて消費者行政推進会議を設置し、本年4月23日には同会議において総理大臣自ら「『消費者を主役とする政府の舵取り役』となる消費者庁(仮称)を創設する。」ことを明言し、(1)消費者庁は消費者行政全般についての司令塔とすること、(2)消費者に身近な問題を取り扱う法律は消費者庁に移管すること、(3)地方の消費者行政強化に向けて抜本的な対策を講ずることなどの基本方針を明らかにした。これを受けて、同会議は総理大臣の上記方針に沿って本年5月21日付で取りまとめの素案を発表し、近く正式に報告書を提出する予定である。

 上記基本方針は、当会の意見と軌を一にするものであり、当会もこの基本方針を高く評価し、支持するものである。

 我が国の消費者問題はますます複雑・多様化し、消費者被害は一層深刻化している。近時、「餃子事件」や相次ぐ食品偽装表示事件などにより、消費者の食の安全が脅かされている実態がクローズアップされている。ガス湯沸器やシュレッダーなどの製品事故、商品先物取引・海外商品先物取引・海外商品先物オプション取引・外国為替証拠金取引・ロコロンドン貴金属取引などの投資取引被害、高齢者を狙った次々販売や若者をターゲットとしたマルチ商法・キャッチセールスなどの悪質商法やこれらと結びついたクレジット被害、高利貸付を原因とする多重債務問題、インターネット・携帯電話の普及によるトラブルなど現在問題となっている消費者被害は枚挙にいとまがない。

 消費者被害は広範囲で多数の消費者に対し、個別的・潜行的に同種被害が発生し、顕在化した時にはすでに被害回復が極めて困難という傾向が顕著であるため、迅速的確な被害救済だけでなく、予防や再発防止が極めて重要である。従って、行政による対応が肝要となるが、従来、関係省庁は産業振興・育成を主として組織され、またいわゆる「縦割り行政」のために隙間の被害は放置されるなど、その対応は極めて不十分なものであった。

 当会は、消費者相談という特別な法律相談を設けたり、サムニングループによる悪質リフォーム、近未来通信、エル・アンド・ジー、ワールドオーシャンファーム等の大型消費者被害事件については110番を実施し、あるいは被害対策弁護団の結成を呼びかけるなど具体的な消費者被害救済を図り、また消費者問題解決に関する諸施策について提言活動を行ってきたが、それらの活動の中で、あえて法律や行政指導の隙間を狙った消費者被害が減らない実態を実感し、消費者の権利擁護を積極的に行う専門的な行政組織の必要性を痛感してきた。

 このような状況において、福田総理大臣は上記一の方針を打ち出してきたものであり、これに沿って消費者行政新組織が設立されるべきであるが、新組織が単に創設されるに止まらず、「消費者が主役となる消費者のための消費者行政新組織」として活動できるよう強い権限・機能が与えられなければならない。

 当会では、新組織創設に向けて、以下の事項が実現するように求めるものである。

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