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大和都市管財国家賠償訴訟控訴審判決に関する声明

2008年09月30日

東京弁護士会 会長 山本 剛嗣

 去る9月26日、大阪高等裁判所は、大和都市管財国家賠償請求事件(以下「大和都市管財事件」という)について、昨年6月6日になされた大阪地裁判決を維持し、再度、国の責任を認めたうえ被害賠償を命じる控訴審判決を下した。
大和都市管財事件は、独立系の抵当証券会社である大和都市管財株式会社(以下「大和都市管財」という)の破綻により、「第二の豊田商事事件」とも称される、被害者約1万7000名、被害総額約1,100億円という大規模な損害を惹起した詐欺被害事件である。
今回の控訴審判決は、一審の判断を維持するとともに、さらに控訴審で取り調べられた証拠も加えて、当時の近畿財務局の規制権限不行使の具体的事情を認定し、国の国家賠償法上の責任を認めて被害者救済を命じたものであり、一審判決にさらに重みを加えたものとなっており、高く評価されるべきである。この間、消費者被害事件に関しては、多くの消費者被害事例を教訓として、消費者被害救済への努力がなされつつある。消費者の安全・安心に関わる問題の根本的解決については、相次ぐ食品表示の偽装事件を考えても明らかなように、事業者に対する監督官庁の適切な規制権限の行使が必要不可欠であり、広く社会の理解が得られているところである。まさに、今回の大和都市管財事件の控訴審判決は、消費者庁設置の必要性をタイムリーに示した判決でもある。
大和都市管財が破綻した平成13年4月以来既に7年以上もの期間が経過している。本件事件の解決についてこれ以上の遅延は許されず、直ちに国は上告を断念すべきである。
当会は国に対し、今回の大阪高裁判決を真摯に受け止めるとともに消費者被害の防止と被害救済に真剣に取り組むよう求めるものである。また、当会は今後も市民の求めに応え、市民1人1人の権利を守り、正義を実現する活動をしていくことを表明する。