東京弁護士会

カルデロン・ノリコさん一家の在留問題に関する会長声明

2009年03月17日

東京弁護士会 会長 山本 剛嗣

 報道によれば、退去強制処分を受けた日本生まれ日本育ちのフィリピン人中学1年生カルデロン・ノリコさんと両親が家族全員の在留特別許可を求めていた問題で、東京入国管理局は、両親が自主帰国を表明しないときは子どもも含めて全員を強制送還する、と迫り、両親が自主帰国を表明したことを受けて、ノリコさんだけに在留特別許可を付与したという。

 今年で採択から20周年を迎える子どもの権利条約は、「締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。」(9条1項)と明記し、同項但書の定める例外は、当局が「司法の審査に従うことを条件として」「その分離が児童の最善の利益のために必要」であると決定する場合に限られている。そのような決定は、児童虐待や父母の別居のような特定の場合に必要となるに過ぎず、ノリコさんの最善の利益のために親子分離が必要とされる事情はない。また、我が国の退去強制処分は裁判所の許可を条件としておらず、但書の例外にも含まれない。

 両親の事情により日本で生まれ育ったノリコさんは母国のタガログ語ができないという。ノリコさんを現在の学習環境、社会環境から切り離してフィリピンに強制送還することが彼女の成長発達権を侵害することは明らかであり、それゆえ、入管当局もノリコさんのみの在留を認めたと考えられる。一家はノリコさんを含めた全員の強制送還をされかねないという恐怖の中で入管当局の提案を受け入れたものと思われるが、そのようにして親子分離を事実上強いるのは明らかに子どもの権利条約に違反するものである。

 当会は、政府に対し、ノリコさんと両親との親子分離を事実上強いることとなったこの度の方策を非難し、今後は、ノリコさんに保障されている「定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利」(子どもの権利条約9条3項)を侵害することのないよう、両親が改めてノリコさんと面会するために来日するときには上陸を許可するとともに、長期滞在を認めるよう、強く求める次第である。

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