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東北地方太平洋沖地震等における被災者等の債務負担の軽減等を求める会長声明

2011年03月29日

東京弁護士会 会長 若旅 一夫

2011(平成23)年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では,東北地方を中心に,北海道から関東地方にかけて太平洋沿岸の広い地域に,大規模な人的・物的被害を発生し,また,福島第一原子力発電所における原子炉事故は放射性物質の漏洩という重大な脅威を国民に与えている。当会としても,被災者のみなさまに心よりお見舞いを申し上げるとともに,一日も早い復旧・復興に向け,会員の総力を結集して支援活動に尽力する所存である。

今回の震災により,多くの人たちが長期の避難生活を余儀なくされ,また,多くの事業者が被害に遭うなどした。その結果,失業,休業などによって多くの人たちが収入を失うことになるおそれが強い。また,被災により,家計の担い手を失ってしまった家族も多い。このため,住宅ローン,サラ金からの借入れ,クレジット代金などの債務の支払が困難になる人たちが多く発生することは容易に予想される。

この点,すでに,政府(金融庁,経済産業省など)は,銀行協会,信用金庫協会,信用組合協会,日本貸金業協会,日本クレジット協会など各種業界団体に対し,貸付条件の変更等の申込みに対しては柔軟かつ適切な対応を取ることを所属の金融機関・業者に徹底することを要請している。

各金融機関・業者においては,かかる要請の趣旨をふまえ,被災者,被災事業者あるいはその従業員などから申込みがあった場合には,返済の猶予,猶予期間中の利息の減免,返済期間の延長等,返済条件の緩和を徹底されたい。また,これらの人たちは条件変更などの申込みすらできない状況に置かれていることも予想されるので,被災者等及びその保証人に対する請求は極力控えるとともに,震災発生後の経過利息・損害金の免除などの対応も検討していただきたい。

政府においては,各金融機関・業者による返済期間の延長,利息の減免などの対応が円滑に進むような財政的,立法的措置を図り,また,被災者の経済的再生への負担軽減のため,法的手続(破産,個人再生,特定調停など)の手続費用減免,民事法律扶助の拡充などの措置も積極的に行うべきである。 

また,被災者の不安を少しでも軽減するためには,関係機関の取組みに関する情報が,避難所などにいる被災者にも迅速かつ正確に届くよう最大限の配慮を行うべきである。

以上