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東日本大震災等の被災者への「法的支援事業」特別措置法の制定を求める東京三会の会長声明

2011年12月27日

東京弁護士会 会長 竹之内 明

第一東京弁護士会 会長 木津川 迪洽
第二東京弁護士会 会長 澤井 英久

東京弁護士会、第一東京弁護士会及び第二東京弁護士会(以下、「東京三会」という。)は、震災直後から、日本弁護士連合会、各地の単位弁護士会、弁護士会連合会、日本司法支援センター(以下、「法テラス」という。)と協力をしながら、避難所における法律相談等の被災者に対する法的支援活動を行ってきた。しかし、その中で、法テラスの活動基盤となる総合法律支援法に基づく被災者への法的支援には、以下の通り大きな限界があることが判明した。

① 法律相談等の支援に資力要件がある。法律相談の前提として一定以上の資力がないことを要件としているが、被災者について資力の有無を申告させ確認することは、被災者の苦しみへの配慮を欠くことになりかねない。現に、三陸沿岸の市役所の担当者からは、相談に来られる方々に資力要件を尋ねるような法律相談会であればやらないでほしいとも言われている。また、例えば、一定額の地震保険金等が支払われていると資力があると認定され、民事法律扶助相談が受けられないという事態も生じている。
② 支援対象は民事裁判等に限定されている。今回の東日本大震災の被災地においては、震災を考慮して作成された「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」に基づく私的整理手続や原子力損害賠償紛争解決センターにおける調停手続といった、裁判外の法的問題の解決手続が作られているが、こうした手続の援助を民事法律扶助事業では正面から認めて来なかった。このような手続についても、民事法律扶助事業の支援対象手続として認めたうえで、その利用を促進することが、被災者の抱える法的問題の解決に資することは明らかである。

以上を踏まえ、東京三会は、日本弁護士連合会と共に、東日本大震災等の被災者支援のため、(1)資力要件で被災者を選別しない法的支援事業の創設、(2)民事裁判等手続に限定されない柔軟な支援の実現、などを内容とする「法的支援事業」特別措置法の制定を求めてきた。国会においても被災者に対する法的支援の重要性を踏まえ、すでに閉会した第197回臨時国会での議員立法による成立を目指してきたが、時間的制約などから成立には至らなかった。

一日も早く被災者に対する適切かつ迅速な法的支援を実施できるようにするため、来年早々に召集が予定される次期通常国会においては、その冒頭ないしそれに近接した早い時期に本特別措置法が速やかに制定されることを求めるものである。