東京弁護士会

給費制の復活を含む司法修習生への経済的支援を求める会長声明

2012年12月18日

東京弁護士会 会長 斎藤 義房

本年12月19日,新第65期の司法修習生が司法修習を終え,裁判官,検察官,弁護士等法曹への第一歩を踏み出す。

第64期までの司法修習生に対しては,司法修習期間中の生活費等の必要な資金(修習資金)が国費から支給されていた(給費制)が,新第65期修習生からは,給費制は廃止され,修習資金を貸与する制度に移行した(貸与制)。第65期修習生は貸与制を経験した初めての法曹である。

日本弁護士連合会は,本年6月から7月にかけて,同第65期修習生に対して「生活実態アンケート」を実施した。そのアンケートによると,ほとんどの修習生が,現実の当事者と生の事件記録に接し,裁判官,検察官,弁護士の指導の下で実際の法律実務に従事する司法修習を意義ある重要なものと認め,誠実かつ精力的に取り組んでいることがわかった。

しかし,一方で,28.2%の司法修習生が司法修習を辞退することを考えたことがあると回答し,その理由として,86.1%が貸与制を挙げている。また,貸与金返済の経済的不安感から,書籍購入や医者にかかることを自粛したり,食費を削った等という声が多数寄せられており、貸与制が充実した修習のマイナス要因になっている実態が浮かび上がってきた。

さらに,司法修習生の月平均の支出額は,住居費の負担のある場合は21万5800円であった。司法修習生は,全国各地に配属されて修習に従事するが,修習の開始に伴い修習配属地への引越が必要だった司法修習生は,約6割を占め,この場合には,ほとんどの場合,住居費のほかに,引越費用等で平均25万7500円を負担していることがわかった。司法修習生の多くは大学及び法科大学院の奨学金等の返還義務を負担しており,貸与制はその返還義務を加算することになる。

また,経済不況と司法試験合格者の急増等を原因とする弁護士の就職難状況は続いている。

このような状況下で,貸与制が今後とも継続されることとなれば,「経済的事情によって法曹への道を断念する事態」(衆議院法務委員会附帯決議)への懸念がさらに現実化することになる。

人権を守る司法の担い手を育てる法曹養成制度は社会のインフラであり、その整備と充実化は国の責務である。

当会は,上記アンケートの実態を踏まえ,経済的事情から法曹の道を断念する事態が生じることがないよう,早急に給費制復活を含む司法修習生に対する適切な経済的支援を求めるとともに,新第65期及び第66期の司法修習生に対しても遡及的に適切な措置が採られることを求めるものである。

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