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スポーツ振興くじ(通称「サッカーくじ」)法案に対する声明

1997年05月12日

東京弁護士会 会長 堀野 紀

 「スポーツ振興くじ」(通称「サッカーくじ」)を導入する法案が、4月25日、議員提案により、今国会に上程された。
この法案は、1994年から毎年国会に上程されようとしたが、国民的な反対の声の中で上程を断念せざるを得なかった法案である。
東京弁護士会は、既に、1994年12月27日、当時進められていた、スポーツ議員連盟プロジェクトチームによる「サッカーくじ」創設の動きに対し、「『スポーツ振興くじ』(通称サッカーくじ)法案大綱に対する意見書」をとりまとめ、反対の意見を表明し、ついで、1996年5月14日、「サッカーくじ」を導入する法案上程の動きに対して反対する声明を出してきたところである。
今回の法案提出は、数回に及ぶ上程断念後の社会状況に格別の変化もなく、かつ、依然として、国民の間の議論が十分に尽されていないままなされたものであり、先に東京弁護士会が上記意見書及び声明において指摘した「サッカーくじ」創設に伴って懸念される諸問題は抜本的には何ら解消されていない。
すなわち、サッカーくじのもつギャンブル性、スポーツにもたらす影響、特に広範な青少年に人気のある「Jリーグ」を対象とし、青少年の日常生活や行動意識に与える影響が甚大であると予測される事情にも変化はない。また、19才未満に「サッカーくじ」を販売しないとする規定との関係で、青少年の生活行動に対する警察の関与の機会を増大させる問題は残されたままである。さらには青少年への教育的問題を含む「サッカーくじ」を敢えて設けるにあたり、文部省がこれに対する指導監督をとおしていわば「胴元」的役割を果たしながら、同時に「教育・文化の振興」、「環境保全」および「青少年の健全育成」などの使途に充てる財源を確保するために「サッカーくじ」を創設するという根本的矛盾も依然として残されている。
東京弁護士会はかような観点から、「サッカーくじ」を創設することに一貫して反対してきたものであり、今回改めて「サッカーくじ」創設の法案成立に反対するものである。