東京弁護士会

成年被後見人の選挙権を剥奪する公職選挙法11条1項1号を違憲無効とした東京地裁判決に関する会長談話

2013年03月15日

東京弁護士会 会長 斎藤 義房

昨日、東京地方裁判所民事第38部(定塚誠裁判長)は、成年被後見人の選挙権を剥奪する公職選挙法11条1項1号を違憲無効とし、「原告が、次回の衆議院議員の選挙及び参議院議員の選挙において投票をすることができる地位にあることを確認する。」とする判決を言い渡した。 

本件訴訟においては、「成年被後見人は選挙権を有しない」とする公職選挙法11条1項1号の規定の合憲性が争点となっていたが、本判決では、同規定が憲法15条1項及び3項、43条1項並びに44条ただし書に反し違憲であると明確な判断を下した。
本判決は、選挙権の重要性を吟味した上で、成年被後見人から選挙権を剥奪するには、平成17年大法廷判決と同様「やむを得ない事由」がある場合、すなわち成年被後見人から選挙権を剥奪することなしには、選挙の公正を確保しつつ選挙を行うことが事実上不能ないし著しく困難であると認められる場合に限られるという判断基準を示した。
そして、成年後見制度の理念や、成年被後見人であっても選挙権を行使できる人が少なからず存すること、仮に成年被後見人に選挙権が与えられた場合についてもその行使に伴う弊害が見いだしがたいこと、及び国際的な潮流などを考慮した上で、成年後見制度を借用し、一律に選挙権を奪うことはやむを得ない事由とはいえないと判断した。

本判決は、議会制民主主義の根幹をなす選挙権の重要性や成年被後見人の利益を守るための制度であるという成年後見制度の趣旨を正確に踏まえた妥当な判断であり、司法の果たすべき役割をまっとうしたものと積極的に評価することができる。

当会は、被告である国に対して、本判決に対する控訴を差し控えるよう強く求めると共に、選挙権という重要な権利についての司法判断を尊重して早急に成年被後見人の選挙権を回復するための法改正に着手することを求めるものである。

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