東京弁護士会

死刑執行に関する会長声明

1998年06月30日

東京弁護士会 会長 二宮 忠

 去る6月25日、東京拘置所で1名、福岡拘置支所で2名、合計3名の死刑確定者に対して死刑執行がなされた旨報じられた。

 1993年3月26日に、わが国における3年4ヶ月もの長期間にわたる死刑執行停止状態が破られてから、5年余の間に毎年少なくとも1回、同日に複数の死刑確定者の死刑が執行され、その合計人数は28名に達している。

 当会は、これら死刑執行に際してその都度会長声明ないし談話を発表し、死刑制度について、その存廃を含む諸々の問題に関して検討を深める決意を表明するとともに、法務大臣に対しても、(1)死刑制度の運用状況に関する情報の公開、(2)死刑廃止条約の批准の是非を含め、死刑問題について国会をはじめ国民の間で論議を深化すること、(3)議論が尽くされるまでの間死刑の執行に慎重を期し、これを差し控えること等を要望してきた。

 この間、当会は、死刑問題に関し、「シンポジウム」や「会員アンケ-ト調査」等を実施して検討を重ねてきた。にもかかわらず、法務大臣は当会がこれまでの会長声明ないし談話でなした要望に対して、相変わらず死刑執行の事実を速やかに公表せず、また、死刑執行場を報道機関にも公表しない等死刑に関する情報の公開を頑なに拒否し続け、死刑臨調のような死刑問題に関する論議の場を設けようともしない。

 さらに、昨年11月19日、日弁連も内閣総理大臣及び法務大臣に対して、死刑の存廃問題に関していずれの立場に与するものではないが、わが国の死刑執行は、(1)「国際人権(自由権)規約」、(2)「死刑に直面する者の権利の保護の保障に関する国連経済社会理事会決議」、(3)「死刑に直面している者の権利の保護の保障の履行に関する国連総会決議」などの国際規範に違反しているので、その違反状態をなくす立法の整備や死刑情報の公開を図るなど、死刑に直面する者の権利の保障のための対策が講じられるまでの間は、死刑の執行を差し控えるべきである旨、要望を出した。

 当会は、法務大臣のこれまでのような対応に対してあらためて遺憾の意を表明するとともに、当会がこれまで再三にわたって表明してきた要望について法務大臣が誠実に対応されることを重ねて要望する。

1998(平成10)年6月30日

東京弁護士会 
会長 二宮 忠

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