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スポーツ振興くじ(通称「サッカーくじ」)について

1998年11月04日

東京弁護士会 会長 二宮 忠

 保健体育審議会スポーツ振興投票特別委員会は平成10年10月12日、「スポー ツ振興投票制度について(審議のまとめ)」を発表した。「審議のまとめ」によれば、「19才未満の子どもには販売禁止を徹底する」としている。これは、サッカーくじと、教育基本法1条に定める「心身ともに健康な国民の育成」とが相反することを認めているからにほかならない。
サッカーくじは、そのギャンブル性を否定するために、当選確率が低いと説明されてきたが、「審議のまとめ」によれば、1等、2等の他に3等を設けるうえ、払戻金の最高限度は一口1億円としており、複数口が当たれば、その額は1億円を超えることになるから、射幸心をあおるギャンブルと何ら異なるところはない。
さらに、「審議のまとめ」によれば、発売の場所は「便利で、日常生活・地域社会で親しまれている場所で、全国的に相当数となる、などを考慮することとする。」とし、具体的にはコンビニエンスストア等を想定していると思われる。
コンビニエンスストアの店員は未成年者が多く、購入希望者の年齢確認が確実に行われるとはとても考えられない。また、コンビニエンスストアやその周辺は、地域の子どもたちの「居場所」になっており、このような場所をくじの発売の場所とすることは、19才未満の子どもに対する販売禁止と矛盾する。
当会は、保健体育審議会の「審議のまとめ」の抜本的な再検討を求めるとともに、国会に対してはサッカーくじの実施の延期を含めた再検討を、政府及び文部省に対しては、サッカーくじに反対する国民の広範な声に耳を傾けることを強く要望する。