東京弁護士会

飯塚事件の再審棄却決定に関する会長声明

2014年04月15日

東京弁護士会 会長 髙中 正彦

 2014年3月31日、福岡地方裁判所は、いわゆる「飯塚事件」に関する再審請求につき再審請求を棄却する旨の決定を行った。

 本件は、1992年2月20日、福岡県飯塚市においていずれも当時7歳の女児2名が登校中に失踪し、翌日遺体が発見された事件であり、久間三千年氏が略取誘拐、殺人、死体遺棄の容疑で逮捕・起訴された。久間氏は本件への関与を否認していたが、1999年9月29日、第1審福岡地方裁判所は死刑判決を言い渡し、その後、控訴、上告も棄却され、2006年10月8日、死刑判決が確定した。

 久間氏は、その後も無罪を訴え、再審請求の準備をしていたが、死刑判決の確定から約2年後の2008年10月28日、死刑が執行された。そのため、無辜の者が誤った刑事手続によって殺されたと考えた遺族によって再審請求が行われていたものである。

 今回の決定は、確定判決が有罪認定の重要な根拠としていたDNA型鑑定について、弁護人提出の鑑定書等によって「確定判決当時よりも慎重な評価をすべき状況に至っている」と認めた。しかし、「他方で、これが一致しないと認めることもできないのであり、両者の可能性がある」とし、さらに、その余の状況事実を総合した場合、久間氏が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がされていることに変わりはないとして、弁護人提出の鑑定書等に「証拠の明白性」(刑事訴訟法435条6号にいう有罪の言い渡しを受けた者に対して無罪を言い渡すべき「明らかな証拠」といえるか)を認めず、再審請求を棄却した。
 確定判決の有罪の主たる根拠のひとつとなっていた科警研のDNA型鑑定の証明力が大いに減じていると認めながら、捜査機関が被害者両名以外の者(犯人)由来の血液が付着した資料を残しておらず、そのため、その再鑑定を行うことができない事情があることについて、結果として、再審請求人に不利益に扱っており、当会としては容認できないものである。

 わが国では、死刑事件について既に4件もの再審無罪判決が確定しており(免田事件・財田川事件・松山事件・島田事件)、死刑事件においても誤判が存在したことが明らかとなっている。
 また、無期懲役事件においても近時、足利事件、布川事件、東電OL殺人事件について、それぞれ再審無罪判決が言い渡され、確定している。
さらに、死刑事件である袴田事件について、静岡地方裁判所は、本年3月27日、再審開始決定、死刑及び拘置の停止決定をした。

 日本弁護士連合会は、2011年10月、人権大会において、「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択しており、これをうけた当会も、2012年11月に死刑制度検討協議会を設置し、廃止も含めた死刑制度のあり方について、調査、研究を続けている。また、人権擁護委員会に再審部会を設置して、冤罪防止へ向けた取り組みを行っている。

 冤罪は国家による最大の人権侵害である。とりわけ誤った死刑判決が執行されてしまえば、取り返しがつかない。
 当会は、誤った裁判による死刑執行がなされないよう、死刑確定者に対する死刑の執行を停止することを求める。冤罪を訴え、再審の支援を求める多くの声にこたえるため、今後も、その救済に向けて、より一層の努力をしていく所存である。

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