東京弁護士会

金融商品取引法改正によるクラウドファンディング規制に関する会長声明

2014年05月28日

東京弁護士会 会長 髙中 正彦

1 クラウドファンディングについて
2014年5月23日に成立した改正金融商品取引法(以下、「改正金商法」という。)では、新規・成長企業に対するリスクマネーの供給促進策の一つとして、投資型クラウドファンディングにかかる規制緩和が盛り込まれている。
「クラウドファンディング」とは、新規・成長企業等と資金提供者をインターネット経由で結びつけ、多数の資金供給者から少額ずつ資金を集める仕組みであり、「寄付型」、「購入型」、「投資型」の形態があるが、改正金商法の対象は、非上場株式やファンドへの出資等、投資の形で資金を集める「投資型」クラウドファンディングである。
改正金商法は、一般投資家から新規・成長企業に対する資金供給促進を図るなどの観点から、投資型クラウドファンディング業務(非上場株式又は集団投資スキーム持分の募集又は私募の取扱いであってインターネットを通じて行われる少額のもの)への参入規制を緩和する内容となっている。
併せて、日本証券業協会の自主規制規則において、非上場株式の募集等のうちインターネットを通じて行われる少額のものについて禁止措置を解除することが提案されている。

2 投資型クラウドファンディングの問題点 
これまで悪質業者・詐欺グループらは、規制の緩い分野、規制の実効が図られていない分野に目を付けてきたのであり、投資型クラウドファンディングに関して新たな規制緩和が行われれば、悪質業者・詐欺グループらが同制度を悪用して詐欺的行為に及ぶ可能性が高い。
また、非上場株式には基本的に取引市場が存在せず、その経済的価値の把握が困難であって、こうした特性やリスクを十分に理解しないまま非上場株式を投資対象とすれば、一般消費者に不測の損害が生じかねない。

3 こうした懸念を現実化させないため、投資型クラウドファンディングの制度の導入にあたっては、次の点に配慮した制度整備を行うべきである。
(1)投資型クラウドファンディング業者による電話や対面による勧誘を禁止すべきである。
(2)投資型クラウドファンディング業者の参入要件については、金融商品取引業者としての専門性の確保、ウェブサイトで提供する情報の適切な確認・調査の体制、システム管理体制等、業態の特性に応じた登録要件を整備すべきである。
(3)投資型クラウドファンディング業者に認められる「少額」の募集は、一人当たり「投資額50万円以下」ではなく「投資額10万円以下」とすべきである。また、一人の投資者に募集等ができる件数や金額に上限を設けるべきである。
(4)投資型クラウドファンディング業者に対し、非上場株式の特質やファンドの仕組みなどについて投資者に対する注意喚起を行わせるとともに、投資者が理解していることを確認する義務を課すべきである。
(5)投資型クラウドファンディング業者が、発行者情報の確認義務を負うことを明確化し、ガイドラインを定めるなどの方法により確認義務の内容を具体化すべきである。ウェブサイト上で提供した情報に誤りがあった場合の投資型クラウドファンディング業者の損害賠償責任について、投資型クラウドファンディング業者が情報の正確性の裏付けとなる合理的根拠を提出できない場合は情報が誤りであることを推定するなどの制度(立証責任の転換)とすべきである。
(6)投資型クラウドファンディング業者には、自主規制機関である金融商品取引業協会への加入を義務付けるべきである。
(7)ウェブサイト上における掲示板の扱い、行動ターゲティング広告、システム障害、紛争に際しての証拠の確保のためのデータの保持等について、適切な規制を整備すべきである。

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