東京弁護士会

内閣府消費者委員会の消費者庁移管に反対する会長声明

2014年12月24日

東京弁護士会 会長 髙中 正彦

 最近の報道に拠れば、自由民主党行政改革本部においては、平成26年11月13日に取りまとめられた見直し案の中において、財政健全化、行政効率改善の名の下に、いわゆる内閣府スリム化案の内容の1つとして、内閣府消費者委員会(以下「消費者委員会」と言う。)を消費者庁の中に、その一部局として取り込む構想が提案されているとのことである。
 しかし、消費者委員会移管構想には、重大な懸念がある。
 そもそも、消費者庁は、平成21年9月、①従前の縦割り消費者行政の弊害除去、②消費者利益の確保と産業保護育成機能の分離等を目的として、我が国全体の消費者行政を一元化し、その司令塔としての機能を期待されて新設された。
 消費者委員会は、同庁新設と同時に、消費者庁に対する監視機能と各分野の消費者行政に関する調査・政策提言機能等を果たすために、消費者庁とは独立の地位を付与されつつ協力関係の下、発足後5年間の活動を継続してきた。
 その結果、消費者委員会は、現在に至るまで膨大な数の建議、答申、提言、意見を公表すると共に、その下に組織された専門調査会等も多くの調査報告書を取りまとめ、これら建議等を基礎付ける立法事実として生かされてきた。その取り扱ってきた分野も、消費者取引分野・消費者安全分野を包含する消費者行政全般に及ぶものである。
 また、消費者庁は、本来ならば他省庁の所管分野を含め、消費者行政全体の司令塔として機能すべきところ、実情としては横並びの関係にある他省庁の所管する法分野に関しては、消費者利益に係る問題であってもその改善を求めることは容易ではない。しかし、消費者庁とは独立の地位にある消費者委員会は、他省庁に対し、各所管分野に消費者問題が多発している場合には、その法規制並びにその運用実態、被害実態等について詳細な報告を求め、その報告に基づいて制度や運用の改善を求める建議等の政策提言を行うことがなされてきた。即ち、消費者行政の司令塔としての役割は、消費者庁と消費者委員会の協働関係によって初めて果たされてきたのである。
 しかし、消費者庁発足後、現在に至るまで、消費者庁と協働して消費者委員会が果たしてきた消費者行政における政策提言機能は、両者の一体化によって大きく損なわれる懸念がある。
 何故なら、他省庁と横並びの関係にある消費者庁の一部局となるということは、消費者庁との独立性が失われることから、他省庁の所管分野に対する調査権限と政策提言機能を果たすことは極めて困難となり、また、消費者委員会が有する消費者庁自体に対する立法及び法執行に関する監視機能も失われてしまうことが明らかである。
 上記のとおり、この5年間に消費者委員会が我が国の消費者行政の改善に果たしてきた重大な役割と機能に鑑み、消費者委員会を消費者庁に吸収して、その一部局としてしまうことには、今後の我が国の将来の消費者行政に大きな禍根を残すものであって不適切である。
 以上の理由により、当会は、単純な財政健全化・行政効率化論の名の下に、内閣府消費者委員会を消費者庁に移管する組織改編に断固として反対する。

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