東京弁護士会

自衛隊を「軍」と表現した安倍首相の発言の撤回を求め、集団的自衛権行使に道を開く安全保障法制化に反対する会長声明

2015年03月30日

東京弁護士会 会長 髙中 正彦

 安倍晋三内閣総理大臣は、3月20日、参議院予算委員会において、自衛隊が各国の軍隊と共同訓練を実施している目的などについての質問に対し、「『わが軍』の透明性を上げていくことについては大きな成果を上げている」と答弁し、自衛隊を「軍」と述べた。
 もとより、憲法9条2項は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と明記しており、自衛隊の合憲性そのものが争われてきたところ、歴代政府が「自衛隊は、軍隊でも戦力でもなく自衛力である」として合憲性を説明してきたに過ぎない。しかるに、安倍首相は自衛隊を「わが軍」と呼び、憲法の明文をも無視したものであり、憲法尊重擁護義務(憲法99条)を負う首相の発言として到底看過することは出来ない。
 自衛隊については、第一次安倍内閣当時の2006年12月に閣議決定された政府答弁書においても「自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものと考えている」として、軍隊とは区別しており、上記安倍首相発言はこの政府見解とも矛盾している。
 安倍内閣は昨年7月、歴代政府の憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を強行し、それを受けて、今月20日には、自由民主党・公明党が、集団的自衛権行使を可能にする武力攻撃事態法や自衛隊法の改正など安保法制化に大筋で合意した。安倍首相の発言は、現在準備している安保法制によりわが国の安全保障体制が根本的に変質(自衛隊の軍隊化)することを念頭に置いた発言と言わざるを得ない。
 同時に、安倍首相の発言は、自由民主党が2012年に公表した憲法草案に規定する国防軍の創設を先取りしようとするものとも言える。
 当会は、自衛隊を戦争する軍隊へと変容させ、日本を再び戦争する国へと導くことにつながるとも言える安倍首相の発言の撤回を求めるとともに、集団的自衛権行使へと道を開く関連法制の改正に強く反対する。

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