東京弁護士会

安全保障関連法施行に抗議する会長声明

2016年03月29日

東京弁護士会 会長 伊藤 茂昭

 安倍内閣の下で政府提出法案として昨年9月19日に自民党・公明党の連立与党などの多数によって成立した安全保障関連法が、本日、ついに施行された。
 この法案が、解釈論として憲法9条に反していることについては、ほとんどの憲法学者が認めるところであり、なおかつ40年以上にわたって維持されてきた歴代内閣の見解にも反するものであることは、繰り返すまでもなく明らかな事実である。
 まず、憲法に違反する法律を成立させることは、改正手続きを経ないで行われた点において、端的に改正手続規定である96条に違反するものであるが、さらに、それが明らかに違憲の法案であることをほとんどの憲法学者が明言する中で実行された点において、国家機関自らが憲法を順守しないことを宣言したに等しく、憲法の根本原理である立憲主義に反する行為である。
 そして、このような重大な問題であるにも関わらず、直近の衆議院選挙においては、集団的自衛権を含む法案の提出を明示しないまま多数の議席を得ており、しかもその後の法案の説明において、成り立たない例を持ち出して情緒に訴えたり、砂川判決を意図的に曲解して利用するなどの不適切な手法を用いている。さらに、採決前の世論調査では、集団的自衛権に6割の国民が反対し、少なくとも昨年の国会での法案成立に8割の国民が反対していたにも関わらず十分な審議も経ないまま強行したものである。これらの点において、一連の手続は、国民主権原理にも反しているといわざるを得ない。
 安全保障関連法は、武器輸出三原則を放棄する閣議決定、特定秘密保護法の強行採決などの一連の決定や法制度とともに機能するものであり、明らかに紛争や武力行使に接近する危険性があるにも関わらず、国民に対する情報の開示をまぬかれたまま秘密裏に法が執行されかねないため、国民が知らないうちに憲法の徹底した恒久平和主義がなし崩し的に無力化される恐れがある。
 したがって、かかる違憲の法律の施行を一旦控えて、再び憲法の平和主義に則る法制度に改めることこそが立憲主義国家のあるべき姿であるはずである。
 我々は、これまで幾度となく憲法9条に違反する閣議決定や、安全保障関連法案の提出、強行採決等に反対する会長声明を発し、決議を行ってきたが、ここに改めてこの法制度の明らかな違憲性、立憲主義違反を確認し、施行に対して厳重に抗議し、さらに具体的な政策の立案、実行がなされることのないよう強く求めるものである。

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