東京弁護士会

少年法「改正」に関する会長声明

2000年11月28日

東京弁護士会 会長 平山 正剛

 本日国会において、14歳への刑罰適用年齢引き下げ、一定重大事件の原則逆送、裁定合議制、検察官の審判立会、観護措置期間の延長、検察官の抗告受理申立制度などを含む少年法「改正」案が可決された。本法案について、当会は、日本弁護士連合会や広範な市民団体、市民とともに、子どもの権利擁護、少年犯罪の予防、犯罪被害者支援等の視点から様々な問題点を指摘し、当初より強く反対をしてきた。それにもかかわらず、犯罪被害者への情報開示や意見表明、子どもの再審への道に一部評価されるものがあるとはいえ、拙速かつ不十分な審議により、少年法の理念を大きく変容させるこの「改正」が行なわれたことは、まことに遺憾である。
国会における審議を通じても、少年犯罪が決して凶悪化、低年齢化していないこと、厳罰化が犯罪抑止効果を持たないこと、犯罪被害者にも多様な意見があること、少年院収容受刑者の処遇をめぐる現場の混乱の危険性があることなどが明らかにされつつあった。
また低年齢の子どもが隔離され、身体拘束期間が長期化して、教育や社会復帰が困難になり、そのために真の更生がはかられず、再犯に陥る子どもが増加するのではないか、刑事法廷や検察官が立ち会う審判などで、子どもが自発的に語れる場が非常に制約される結果、真実発見が困難になるのではないかといった危惧も強くなった。しかし残念ながら国会の場では、少年犯罪の現実に迫り真剣に対応を検討することなく、成立を急いだものといわざるを得ない。
厳罰化により子どもの規範意識を強化できるのか、裁判官の合議制や検察官関与により子どもの犯罪の事実認定や処遇が適正に行われ得るのか、これらの問いは、根本的に子どもをどのような存在として受けとめるのかという子ども観の問題を提起している。今回の「改正」を推進した姿勢は、子どもの成長発達権、意見表明権、教育への権利、犯罪に陥った子どもが尊厳を回復するために支援を受ける権利をうたう国連子どもの権利条約が提起する子ども観とは、全く相容れないものである。
当会は、本「改正」少年法の施行後も、現場の運用の中で少年法の理念が堅持されるよう働きかけるとともに、少年審判の運営、処遇がどのように変化していくのか、厳罰化が子どもにどのような影響をもたらすのかを、付添人活動や犯罪被害者支援活動を通じて厳しく監視し、修正案として附則に盛りこまれた5年後の見直し時期までに、今回の改正の問題点をあらためて明らかにするべく努力をする所存である。
そして少年事件の公開問題を含めてのさらなる「改正」の動きに対して、子どもの権利を擁護するために毅然とした態度で臨むことをここに表明する。

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