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日本国憲法施行70周年にあたっての会長声明 

2017年05月03日

東京弁護士会 会長 渕上 玲子

 本年5月3日、国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和主義を基本原理とする日本国憲法が施行され、70年を迎える。
 日本国憲法は、欽定憲法であった大日本帝国憲法を根本的に転換した国民主権原理に基づく憲法であり、基本的人権を最大限保障し、政府の行為による戦争の惨禍を繰り返さないために徹底した恒久平和主義に立つものである。そして、すべての人々が個人として尊重されるための最高法規として、国家権力を制限し、人権保障をはかるという立憲主義の理念を基盤として成立している。
 わが国の政府と市民は、この日本国憲法の下で、70年間、平和で自由な社会を建設してきた。この間、人権保障に向けた取り組みは、プライバシー権などの新しい人権の確認など様々な形で実現してきたものがある一方、貧困と格差の広がり、性の平等や一票の格差の問題など、いまだに人権保障が十分とはいえない分野が存在している。
 また、秘密保護法や、集団的自衛権の一部容認等を含む安全保障法制が成立し、立憲主義の危機ともいえる状況が出現している。さらに、これまで三度廃案となっている共謀罪法案が、現在「テロ等準備罪」の名のもとで国会において審議されるなど、結社の自由、表現の自由、ひいては思想信条の自由すら脅かしかねない深刻な事態が進行している。
 日本国憲法施行70周年を迎えるにあたり、われわれ弁護士は、改めて弁護士法第1条の基本的人権の尊重と社会正義の実現という使命を深く自覚して、日本国憲法がこれまで果たしてきた役割に思いを致し、個人の尊重と法の支配を中核とする立憲主義を堅持するための努力を尽くす決意を新たにするものである。

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