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司法修習生に対する修習給付金制度の創設等を定める改正裁判所法成立についての会長声明

2017年05月31日

東京弁護士会 会長 渕上 玲子

 本年4月19日、司法修習生に対し、修習給付金を支給する制度の創設等を定める「裁判所法の一部を改正する法律」が成立した。

 司法修習生に対する給費制度の実現のために、2010(平成22)年から、日本弁護士連合会及び各弁護士会とともに活動してくださった「司法修習生に対する給与の支給継続を求める市民連絡会」、司法修習生の給費制復活のための若手ネットワーク「ビギナーズネット」をはじめ、署名・パブリックコメントなどにご協力くださった市民及び関係諸団体の皆様方に心からの感謝を申し上げる。さらに、法改正に並々ならぬご尽力をいただいた各政党・国会議員の方々、法務省・最高裁判所等の関係諸機関に深く御礼を申し上げる。

 本年5月21日、2017(平成29)年の司法試験が終了したが、その実受験者数は、速報値で5,967人と報道されており、昨年(6,899人)より約900人減少している。

 本修習給付金制度は、このような法曹志望者の減少傾向も踏まえつつ、司法制度を担う人材育成の重要性、修習専念義務を負って司法実務研修に取り組む司法修習生の立場などを考慮して創設されたものであり、法曹を志す者に対しても、前向きなメッセージになるものと思われる。

 ただ、本制度の基本給付金は月額13.5万円、住居給付金は月額3.5万円であり、人材育成等の観点から十分かどうかについては、なお検証を要する。
 また、衆・参両議院の法務委員会において、多数の議員から、65期から70期までの貸与制のみが適用された世代の法曹に対する救済措置の必要性についても質問がなされた。
 質の高い法曹による力強い司法を作るためには、約1万人にも及ぶ貸与制のみが適用された世代と他の世代との不公平を解消する救済措置が是非とも必要である。
 当会は、政府及び関係諸機関と連携して、引き続き、上記課題に取り組む所存である。

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