東京弁護士会

防衛大臣による「米艦防護」命令に反対する会長声明

2017年06月13日

東京弁護士会 会長 渕上 玲子

1 本年5月1日、稲田防衛大臣は、自衛隊法第95条の2に基づき、米軍の要請に応えて、海上自衛隊の護衛艦「いずも」に対し、いわゆる「米艦防護」を命じ、同艦は房総沖から四国沖まで米軍補給艦を護衛する初めての任務に就いた。
 今回実施された「米艦防護」は、2015年9月に強行採決されたいわゆる安保法制に含まれる新たな任務であるとともに、改正PKO法に拠って昨年12月に実施された「駆けつけ警護」任務を伴う初の自衛隊海外派遣である「南スーダンPKO」に続く、二例目の安保法制の執行である。
2 安保法制について、当会は、政府が戦後一貫して違憲であるとして認めてこなかった集団的自衛権の行使を一部容認するものであるだけでなく、武器使用を認めるPKО駆けつけ警護は紛争に巻き込まれる危険を孕み、重要影響事態法や国際平和支援法に基づく後方支援等も兵站が含まれる以上、憲法第9条が禁ずる武力の行使につながるおそれがあり、憲法の基本原理である恒久平和主義に反し違憲である、と主張してきた。
 また、政府が「解釈改憲」の閣議決定を経て主導し、多くの国民の反対にもかかわらず、十分な審議を尽くさないまま強行採決によって成立させた、というその成立過程においても、立憲主義を踏みにじるものであることを指摘してきた。
3 さらに「米艦防護」は、防護任務遂行中の現場自衛官の判断によって米艦が攻撃を受けた場合に武器使用を認めるものであり、仮に武器の使用に至れば、自衛隊の防護任務は米軍の武力行使と一体化する可能性が高い。そうだとすれば、憲法第9条が禁じる「武力の行使」に至る危険性があり、集団的自衛権の行使をなし崩し的に認めることにも繋がりかねず、違憲というべきである。
 しかも、「米艦防護」は武力行使に至らないいわゆるグレーゾーンにおける任務であるとして、その実施の発令に、国会の承認はもとより、閣議決定すら要しないとされている。上記のとおり、「米艦防護」が「武力の行使」や集団的自衛権の行使に発展する危険性が高いことに照らせば、その発令において民主的統制を欠いていることは、国民主権原理に反する、というべきである。
4 当会は、2017(平成29)年2月1日、「政府が自衛隊法第95条の2の運用に関する指針を決定したことに抗議し、その撤回と安保法制の廃止を求める会長声明」を発したが、ここに重ねて違憲の安保法制は廃止されるべきであることを確認し、その執行として実施された「米艦防護」に対して、断固抗議するものである。

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