東京弁護士会

死刑執行に関する会長声明

2001年12月28日

東京弁護士会 会長 山内 堅史

 法務省は、12月27日、東京拘置所で1名、名古屋拘置所で1名の死刑確定者に対して、死刑を執行した旨発表した。
今回の死刑執行は、昨年11月30日の3名の死刑確定者に対する死刑執行に続くもので、死刑執行が再開されてから9年間に死刑を執行された者は、実に41名に達している。

 当会は、これまでの死刑執行の都度、会長声明ないし談話を公表し、法務大臣に対して、(1)死刑確定者に対する処遇・死刑執行の状況等々死刑制度全般にわたる情報の公開、(2)死刑廃止条約の批准の是非をはじめとして、わが国における死刑制度のあり方に関する国会をはじめとする国民相互間の議論の喚起と深化、(3)死刑執行に一層の慎重を期するとともに、死刑制度に関する議論が尽くされるまでの間の死刑執行停止などを強く要望してきた。
また、日本弁護士連合会も、わが国の死刑確定者に対する処遇・現状が、国際人権(自由権)規約の諸条項に違反するとともに、「死刑に直面する者の権利の保護の保障に関する決議」(1984年国連経済社会理事会)および「死刑に直面している者の権利の保護の保障に関する決議」(1989年国連総会)に定める保護と権利の保障に反する旨指摘し、死刑の執行を停止するよう要望している。
さらに、国連国際人権(自由権)規約委員会は、わが国政府に対し、死刑確定者の通信・面会の制限緩和などの処遇を改善すること、死刑廃止に向けた措置を取ることなどを勧告し、国連人権委員会も、わが国をはじめとする死刑存置国に対し、死刑廃止を視野に入れた死刑執行の一時停止などを呼びかける決議を可決している。

 今回の死刑執行は、死刑廃止議員連盟の死刑執行停止の申入れ、隣国の韓国における死刑廃止の機運を十二分に認識したうえでの執行で、わが国政府の死刑存続に向けた強い意思を示している。かかる姿勢は、当会や日本弁護士連合会の要望を無視するばかりか、国連の勧告や決議にわが国政府が従う意思がないことを重ねて示したものにほかならない。これは、人権保障の見地から死刑廃止に向かう国際的潮流に明らかに逆行するとともに、基本的人権の保障を国家の根本原理の一つとして掲げるわが国の国際的立場に照らしても由々しき事態であると言わざるをえない。

 今回の死刑執行についても、法務省は執行の事実と人数だけしか公表しなかった。当会がこれまで要望してきたように、死刑確定者の処遇(ことに外部との面会・通信の実情など)や死刑執行の実態など死刑に関する情報を広く国民に公開することは、死刑確定者の人権を保障するとともに、死刑制度の是非について国民が議論できる不可欠の条件である。法務省は、今後、さらなる具体的な死刑に関する情報の公開を行い、国民的議論に資するべきである。

 当会は、今回の死刑執行に対して改めて遺憾の意を表明するとともに、法務大臣に対して、死刑の執行を停止し、当会が再三にわたって表明し要望してきた事項について真剣かつ誠実に取り上げ、その実現に向けて具体的に対応されるよう重ねて要望するものである。

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