東京弁護士会

憲法記念日にあたっての会長声明

2018年05月03日

東京弁護士会 会長 安井 規雄

1 1947(昭和22)年5月3日、日本国憲法は施行された。当時我が国は連合国の占領下にあり、原爆や空襲被害からの復興も未だ途上で、抑留者や戦地に取り残されている国民もいた中でのことであったが、戦争に倦み、疲れ切っていた当時の国民は、第9条で戦争放棄・戦力不保持により恒久平和主義を宣言した現在の憲法を、安堵と歓喜をもって迎え入れたのである。
2 そこには、人は生まれながらに個人として尊重されること、それ故にすべての個人が基本的人権の享有を妨げられず、法の下に平等であること、そして国民が権力の暴走の前に無力であったことが戦争の惨禍を招いたという反省のもとに、主権者は国民であること、その国民の意志で制定した憲法が国家権力を拘束するという立憲主義が、高らかに掲げられていた。
 そして、国の在り方を国民自身で決めるために、とりわけ自由な思想を持ち、それを表現することを妨げられないことが重要な価値を持つとされた。
3 それから71年。立憲主義および恒久平和主義は、今では国際協調や積極的平和主義の名のもとの立法によって、脅かされ続けている。
 2015年に施行された安全保障法制は、歴代内閣が第9条に反するとして認めてこなかった集団的自衛権の行使を容認することなどを内容とする憲法違反の法律であり、それに先立って成立した特定秘密保護法も、主権者たる国民が行政や立法の是非を判断するために必要な情報を遮断する危険性があり、また昨年成立した共謀罪法は国民の政治的活動や表現活動を抑制する恐れが強いものである。
 そして今、自衛隊の明文化や緊急条項等を内容とする、憲法自体を改正する動きが現実的なものとなった。
 しかも、それらは憲法改正の前提となる憲法改正手続法(国民投票法)における数々の不備が未だ是正されないまま進められている。
4 当会は、弁護士法第1条の基本的人権の擁護と社会正義の実現という使命のもとで、市民の皆さんとともに、歴史に学び、それを未来に生かすべく、これまで、立憲主義に基づいて、日本国憲法の基本原理である国民主権・恒久平和主義・基本的人権尊重主義を堅持し、これを損なう立法や政策には、その都度強く抗議してきたが、今後もこの姿勢を堅持することを誓うものである。

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