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医学部入試の女性差別に抗議し、迅速適切な対応を求める会長声明

2018年08月21日

東京弁護士会 会長 安井 規雄

2018年8月6日付け学校法人東京医科大学(以下、「東京医大」という。)内部調査委員会の調査報告により、東京医大の入試において、遅くとも2006年度の入試から、女性受験生に不利な得点操作が行われていたことが明らかになった。
憲法第14条が保障する性差別の禁止、男女平等原則は、我が国において、私人間においても尊重されるべき基本的な社会秩序(民法第90条)を構成している。そして、女性差別撤廃条約第10条(b)や教育基本法第4条第1項が性別による教育上の差別を禁じていること、大学は「公の性質」をもつ教育機関(教育基本法第6条)であって、私立であっても国から助成を受ける存在であること等に照らせば、東京医大が行った女性受験生を一律に不利に扱う得点操作は、大学の自治や私立学校の自主性を踏まえてもなお、性別のみを理由とした差別として許されるものではない。また、かかる得点操作は、性別を問わず、ひとしく教育を受ける権利(憲法第26条第1項参照)や職業選択の自由(憲法第22条第1項参照)を保障する憲法の趣旨にも反すると言わざるをえない。
上記報告によれば、東京医大関係者は、一律に女性を差別した理由について、「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる」と説明したということである。しかし、東京医大が、医師の長時間労働を是正し、男女ともに働きやすい職場環境を整えるための施策や提案を行うのではなく、こうした働き方を前提に女性医師の数を抑制する方針をとったとすれば、それは我が国が目指す男女共同参画社会に逆行するものと言わざるをえない。さらには、文部科学省の公募する「平成25年度女性研究者研究活動支援事業(一般型)」の実施機関に東京医大が選ばれ、3年間で合計約8000万円の補助金を受けていたことにも矛盾する。
したがって、まず、東京医大は、得点操作が行われた結果不合格となった女性受験生を、改めて漏れなく調査し、当事者に対する謝罪や情報開示、再発防止といった適切な対応を迅速に講じるべきである。
また、文部科学省は、女性を差別する得点操作等が他大学の医学部入試でも行われていた可能性を否定できないことに照らし、速やかに国内の全大学医学部の入試実態の調査を実施し、その結果を適切な方法で公表するとともに、再発防止策を講じるべきである。同時に、大学入試のみならず、さまざまな局面で医療界における真の男女共同参画を実現するべく、医科系大学の理事会など組織の枢要部の女性割合を増加させるなどの取組みを検討すべきである。

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