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沖縄の慰霊の日を迎えての会長談話

2019年06月26日

東京弁護士会 会長 篠塚 力

去る6月23日は、沖縄県が定めた「慰霊の日」です。74年前、20万人もの戦死者を出した沖縄での組織的戦闘が、司令官の自決によって終了したとされる日です。
沖縄戦は、太平洋戦争の末期、すでに戦争の勝敗も明白となった時期に、日本の本土防衛、国体護持の時間稼ぎのために、いわば「捨て石」作戦として戦われたものです。10代半ばの少年少女までが、ときに強制的に日本軍に組み込まれ、若く尊い命を失いました。また、我が国では唯一、住民を巻き込んでの地上戦が行われました。
しかし、我々東京に住む人間のどれだけが、この歴史を正しく知り、また、この慰霊の日を認識しているでしょうか。そのことが、今の沖縄の基地問題に、東京の人間が他人事のような態度をとっているように見えることにつながっているようにも思います。
日米安保条約に基づく米軍基地の70%が、国土面積の0.6%に過ぎない沖縄に偏在し、その上で普天間基地に代わる代替施設を辺野古に建設する計画が、沖縄県民の意思を無視して進められています。
当会は、今年の3月13日に政府に対し、辺野古への基地移設について、明確に反対の意思を表明した沖縄県の住民投票の結果を尊重することを求める会長声明を発出しました。その上で、我々は東京の弁護士会として、できることは何かを常に考えながら活動していきたいと思います。
戦後74年が経過しようとしている今、沖縄戦に限らず、我が国が戦った第二次世界大戦の記憶の風化が急速に進んでいます。戦争放棄を定めた憲法を守るためには、まずは戦争の悲惨さを正しく記憶しておくことが必要です。
その思いから、当会は、今年の「慰霊の日」の前日である6月22日には、「沖縄とともに―慰霊の日を迎えて―」と題するシンポジウムを開催しました。併せて、7月11日までの間、霞が関の弁護士会館1階ロビーにて、74年前と現在の沖縄の様子を写した写真展を開催しています。
沖縄で亡くなった方々とご遺族の方々に深い哀悼の意を捧げつつ、世界の恒久の平和を祈念し、我が国の安全保障の在り方を考えるために、多くの方々に写真展に足をお運び頂けると幸いです。

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