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「世界子どもの日」にあたっての会長談話

2019年11月20日

東京弁護士会 会長 篠塚 力

今日は「世界子どもの日」です。
1989年の今日、国連総会で子どもの権利条約が採択されました。子どもの権利条約は「30歳」になったのです。日本は少し遅れて1994年に子どもの権利条約を批准したので、今年は批准から満25年となります。
子どもの権利条約は、子どもたち一人ひとりが、差別されないこと、最善の利益が考慮されること、生命・生存・発達が保障されること、意見を尊重されることを4つの柱としています。そして、網羅的・具体的に子どもに保障されるべき権利を規定し、それを保障するための施策の実現を各国に求めています。

しかし、現実には、世界中で多くの子どもたちが生きる権利さえ脅かされています。そして、子どもの人権が脅かされている現実は、決して遠い国の出来事ではありません。
いまこの瞬間にも、親から虐待を受けている子ども、学校でいじめられている子ども、貧困にあえいでいる子ども、犯罪の被害に遭っている子ども、障がいがあることや外国籍であることを理由として差別を受けている子どもなど、生きる権利や成長発達する権利が侵されている子どもたちがいます。
この世に生を受けた以上、どの子どもにも等しく、人権・権利が保障されなければなりません。

ところが、日本政府は、国連から繰り返し子どもの権利条約に反する施策が多いと勧告を受けているのに、遅々として制度改善に取り組まず、逆に、少年法の適用年齢引き下げなど、子どもの権利保障に逆行する施策を進めようとしているのは悲しいことです。
世界には、子どもの権利を守るための代理人として、公費で弁護士を選任できる制度がある国もあります。我が国でも、子ども自身が自分の権利を守るために、公費で弁護士を依頼する権利が保障されるべきです。さらには、近時、児童相談所や学校で弁護士の活動が期待されるようになってきており、その期待に応える対応をしたいと考えております。
私たち弁護士は、すべての子どもの権利が保障されるよう、個々の事件で力を尽くすことはもちろん、法律や制度の改善のためにも努力するとともに、社会のあらゆる場面で子どもの人権の守り手として活動できるよう、子どもの人権に精通した弁護士の養成を含め、尽力していきたいと思います。

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