東京弁護士会

新型コロナウイルス感染対策としての仮放免に伴う生活支援と全件収容主義の是正を求める会長声明

2020年05月28日

東京弁護士会 会長 冨田 秀実

1 新型コロナウイルス対策としての仮放免の評価
入管施設は、多くの外国人が閉鎖空間に収容されて起居を共にし、密集・密接の状態が避け難く、ひとたび新型コロナウイルス感染症が発生すれば即座に感染が拡大する可能性が高い。このことは、法務大臣自身、収容施設における感染リスクに言及しているところでもある(2020年4月17日法務大臣記者会見)。
国連移住ネットワーク入管収容代替措置に関するワーキンググループでは既に、2020年4月29日に、「COVID-19と入管収容:政府と他のステークホルダーは何ができるか?」と題する文書(以下「国連WG提言」という。)を公表し、「適切なセーフガードを講じ、収容されているすべての移住者を、非拘禁的な、コミュニティベースの代替措置へと解放すること」などを求めている。
この点、出入国在留管理庁は今年5月1日、「入管施設における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」を策定し、「特に仮放免を行うことが適当でないと認められる場合(明らかに感染している場合若しくは感染の疑いがあると判断される場合を含む。)を除き,仮放免を積極的に活用すること。」とした(同マニュアル22頁)。
在留資格のない外国人であっても、その人身の自由は最大限尊重されるべきであり、これに対する重大な制約である収容は必要最小限度のものにとどめるべきである。このような見地から、今般の仮放免を積極的に活用し、収容を回避すること自体は正しい方針であり、歓迎したい。

2 仮放免に伴う生活支援の必要性
出入国在留管理庁は、在留資格のない外国人に対して仮放免を活用するとしながらも、仮放免後の外国人の生活に関する施策は示していない。我が国においては、仮放免された外国人は入管当局から就労を禁止され(出入国管理及び難民認定法第54条第2項、出入国管理及び難民認定法施行規則第49条第3項、同第48条第2項第4号)、住民基本台帳に記録されている者を対象とする特別定額給付金も受給できず、国民健康保険や生活保護の対象外とされることから、医療へのアクセスもままならない。特に帰住先がなく家族の支援が望めない外国人においては、その生活の基盤は極めて脆弱と言わざるを得ない。
この点、先の国連WG提言でも、高齢者、子ども、女性、障害者など生活基盤の脆弱な外国人への特別の保護が求められているところである。

3 結論
以上により、入管施設に拘束されている外国人の仮放免に際しては、当該地域ごとに住居の提供、就労の許可を講じることなどの施策を実施して、仮放免に伴う適切な生活支援を行うべきである。
また、従来の閉鎖型の収容施設を開放型の「受入施設」へ変更するよう、早急に検討すべきである。
最後に、本来退去強制令書による収容は、強制送還の準備のためだけに認められるものであり、外国人の人身の自由の保障の観点から全件収容主義は速やかに是正されなければならないものである。新型コロナウイルスの感染対策を契機として、改めてこの当然の理を国に対して求める。

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