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沖縄の慰霊の日にあたっての会長談話

2020年06月23日

東京弁護士会 会長 冨田 秀実

沖縄県は、6月23日を「慰霊の日」と定めています。75年前、20万人もの戦死者を出した沖縄戦は司令官の自決を経て、1945(昭和20)年6月23日、組織的戦闘としては終了したとされています。
沖縄戦は、太平洋戦争の末期、すでに戦争の勝敗が明白となった時期にもかかわらず、多数の住民を巻き込んでの地上戦が行われました。
戦後75年が経過しようとしている今、沖縄戦に限らず、我が国が戦った第二次世界大戦の記憶の風化が急速に進んでいます。日本国憲法は、日本国民が「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」て制定されました。戦争放棄を定めた憲法を守るためには、まずは戦争の悲惨さを正しく記憶しておくことが必要であり、沖縄で多くの犠牲者がでたという歴史を風化させてはなりません。
ところが、現在もなお、米軍基地の70%が、国土面積の0.6%に過ぎない沖縄に偏在しており、その上で普天間基地に代わる代替施設を辺野古に建設する計画が、国により2019年2月の県民投票などに示される沖縄県民の意思を無視して進められているなど、沖縄の民意と国の政策が相反しており、沖縄の民意が置き去りにされている状況が続いています。
そこで、当会は3年前から毎年「慰霊の日」の時期に合わせて「沖縄とともに-慰霊の日を迎えて-」と題するシンポジウムを開催し、併せて、霞が関の弁護士会館1階ロビーにおいて沖縄戦や基地問題に関する写真展を開催してまいりました。今年は新型コロナウイルス禍のためにシンポジウム、写真展は中止せざるをえませんが、沖縄の人々に寄り添う姿勢に全く変わりはありません。
最後に、沖縄戦でお亡くなりになったかたがたとご遺族のかたがたに深い哀悼の意を捧げつつ、恒久の平和を念願し、今後も、戦争こそ最大の人権侵害であることを次世代の人々に伝え続ける努力をしてまいります。

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