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「中小企業の日」にあたって、より拡充・深化した中小企業支援を目指す会長談話

2020年07月20日

東京弁護士会 会長 冨田 秀実

わが国の中小企業・小規模事業者(以下「中小企業」といいます。)は、数多くの雇用を創出し、経済の根幹を支えています。市民の働く場や生活が守られていくためには、中小企業が日々の経営を安定して行っていくことが必要であり、基本的人権の擁護と社会正義の実現を責務とする弁護士こそ、社会生活上の医師として、中小企業を支援していく役割が求められます。
当会は、2014(平成26)年2月に中小企業法律支援センター(以下「当センター」といいます。)を発足させ、①全国の弁護士会で初めて弁護士(コンシェルジュと呼ぶ配点担当弁護士)が中小企業から事案の内容を直接聴き取り、当該事案に適した相談担当弁護士を紹介するという法律相談制度の実施、②官公庁、自治体、中小企業関連団体、金融機関、士業団体などと連携して、イベントやセミナー、勉強会を開催し、弁護士側から中小企業に積極的にアプローチし、総合的にサポートするアウトリーチ活動の展開、③「事業承継」「働き方改革」等、時流に即した重要なテーマごとにプロジェクトチームを組成し、研究活動、会員の研鑽その他きめ細やかで効果的な中小企業支援活動、などに積極的に取り組んで参りました。
そして、昨今の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響により、多くの中小企業が未曾有の危機に直面している状況を踏まえ、当センターにおいて、緊急事態宣言下においても弁護士・事務局一丸となって中小企業向け法律相談制度の運営を継続するとともに、いち早く一日電話無料法律相談会を緊急開催したり、日本弁護士連合会による新型コロナウイルス電話法律相談の運営にも窓口対応を含めて積極的に協力する体制を整えています。また、各種Q&A集有益情報リンク集当センターのウェブサイト上(http://cs-lawyer.tokyo/)で公開し、新型コロナ禍によって厳しい経営状況に陥っている中小企業のためにきめ細やかなサポートや適確な情報発信に努めております。
当会の中小企業向け法律相談の件数は年を追って増加しており、相談内容も多様化しています。弁護士による中小企業支援においては、より多くの事業者に法的サービスを行き渡らせる必要があることは勿論、法的な問題の解決や予防のみならず、事業者に寄り添って経営に関わる種々の課題や悩みの相談に乗って経営を総合的に支援していくことや、コロナ後に社会経済が大きく変動していく中で新たに生起するニーズに積極的に応えていくことなどが求められていると言えます。
2019(令和元)年より中小企業庁は毎年7月20日を「中小企業の日」と定めました。日本経済を支える中小企業の成長や飛躍を願う思いを込めた「中小企業の日」を本年も迎えるにあたり、当会及び当センターは、さらなるアウトリーチ活動の展開や会内の研鑽などにより、より多くの中小企業に弁護士によるサービスを行き渡らせると共に、弁護士が経営者に寄り添い、中小企業支援を質的に深化させていく所存です。今後も、引き続き社会の変化に柔軟に対応しつつ、中小企業の法律面も含めた様々な経営上のニーズに的確に応えて参ります。

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