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戦後75回目の8月15日を迎えるにあたっての会長談話

2020年08月15日

東京弁護士会 会長 冨田 秀実

戦後75回目の8月15日を迎えました。
1945年8月15日、ポツダム宣言の受諾が発表され、これにより長く続いた戦争に終止符が打たれました。この戦争において、300万人を超える日本人の命が奪われました。また、日本は、植民地支配と侵略により、アジアの国々に対し、甚大な被害を与えました。
日本国民はこの戦争の反省を踏まえ、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」(日本国憲法前文)して、個人の尊重、生命、自由及び幸福追求の権利(第13条)の保障を核心とした人権保障規定を置き(第11条~第40条、第97条)、主権が国民に存することを宣言し(前文、第1条)、恒久平和主義(前文、第9条)、国際協調主義(前文、第98条2項)などを基本原理とする日本国憲法を制定しました。
日本が国際社会において「名誉ある地位」(前文)を占めるためには、この反省を踏まえた憲法前文及び第9条の恒久平和主義に則った平和政策・平和外交を展開していく必要があります。
しかし、近年、憲法に違反すると指摘されていた安全保障関連法が「成立」し、これに基づく自衛隊の海外での活動が命じられ、防衛計画の大綱の改定により自衛隊の打撃力が格段に強化されています。また、今月初旬には、自由民主党から政府に対し、「専守防衛」を逸脱する懸念が強い「敵基地攻撃能力の保有」の提言がなされました。このような動きは、憲法の恒久平和主義を骨抜きにする可能性があるものであり、近隣諸国との間の緊張を高めるおそれがあります。
東京弁護士会は、先の戦争のすべての犠牲者に対して哀悼の意を捧げるとともに、日本国憲法の理念が尊重され、すべての人が「ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」(前文)を享受できる社会の実現を目指して力を尽くしていきたいと思います。



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