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新年のご挨拶~コロナ禍にあっても,人権の守り手として,市民に寄り添う

2021年01月05日

東京弁護士会 会長 冨田 秀実

明けましておめでとうございます。昨年は,新年度の役員としての業務を開始した直後の4月7日に,新型コロナウイルス感染の防止策として政府から緊急事態宣言が発出されたことにより,弁護士会の活動は大幅に制約されました。現在も,新型コロナウイルス感染の拡大は収束を見せてはおりませんが,新年にあたり,当会のこれまでの取り組みについてご報告いたします。

1.緊急事態宣言発出後の取り組み
緊急事態宣言の発出直後には,各弁護士会に勤務する職員や会員の新型コロナウイルス感染の防止策として,弁護士会館を閉鎖することにし,同時に,当会では,事務局窓口を閉鎖し,職員の勤務時間を短縮するとともに,一部の職員を在宅勤務といたしました。当会がこのような事務局体制を採った理由は,職員や会員の感染を防止すると同時に会務の継続を図るためであり,緊急事態宣言が解除された後の5月31日まで継続しました。

2.社会生活上の医師としての役割
緊急事態宣言下においても,市民や事業者に生じた法的問題に対して,弁護士や弁護士会は社会生活上の医師としての役割を果たすべきであり,特に,緊急事態宣言の発出を起因として生じた雇用関係や賃貸借関係等の法的トラブルや家庭内で生じたDVなどの法的問題について,その解決のために力を尽くすことは重要です。
そこで,当会は,法律相談を継続的に実施するために,対面相談を避けて,電話やテレビ電話による法律相談体制を整備しました。また,当番や国選弁護の選任手続についても,緊急事態宣言下の期間は,当会が,選任手続に支障が出ないよう全面的に協力いたしました。

3.会務活動について
委員会活動については,原則として会館内での会議開催は中止し,メーリングリストやZoomを利用してのウェブ会議で開催しました。6月には,委員会議事規則を一部改正しましたので,6月以降は,Zoomを利用した会議が正規の委員会会議として認められています。また,会館での出席とZoomでの出席を併用したハイブリッド型の委員会開催も実施しています。弁護士研修も,緊急事態宣言中は,そのほとんどが中止あるいは延期されていましたが,6 月にはYouTubeを利用した研修を実施し,7月15日に開催した夏期合同研究では,8つの分科会と1つの全体会をすべてZoomを利用して実施し,のべ1000人を超える会員が参加されました。

4.定期総会,臨時総会について
緊急事態宣言下で,感染も拡大していたため,5月26日に予定されていた定期総会は延期しましたが,暫定予算の期間(3ヶ月)内である6月30日に,開催することができました。
また,「総会委任状の受任個数を10個から30個に増加する議案」を審議する予定であった7月30日の臨時総会は,感染が拡大する中で会則改正に必要な定足数の200人の出席が困難な状況にあったため,その開催を延期しました。
同議案は,「死刑制度の廃止に向け,まずは執行停止を求める決議案」を審議する予定であった9月24日の臨時総会において,ともに審議され,両議案とも承認されました。

5.その後の取り組み
役員選挙に関して,候補者が,会員に対する電子メールの利用を拡大して選挙活動できるようにする会規改正は,12月8日開催の臨時総会で承認されましたので,本年度内に実施されます。また,「副会長の1名増員と女性副会長についてのクオータ制導入」および「運動会実施の可否」については,現在,それぞれ設置されたワーキング・グループ(W.G.)で検討されています。

本年度は,新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け,当会の活動も大幅に制約され,新年に入っても,1月8日に予定されていた新年式や1月14日に予定されていた新入会員歓迎会は中止を余儀なくされています。私ども役員は,このようなコロナ禍にあっても,感染防止策を講じながら,残りの任期を,当会が直面する課題についてしっかりと成果を出すよう取り組む所存です。