東京弁護士会

入管法改正案(政府案)に反対する会長声明

2021年03月08日

東京弁護士会 会長 冨田 秀実

政府は、本年2月19日、出入国管理及び難民認定法改正案(以下「本法案」という。)を国会に提出した。
本法案は、そもそも2019年6月に大村入国管理センターで発生した長期被収容者の餓死事件の発生を契機に、このような事件の再発防止と入管の長期収容問題解決を念頭にした議論を経て、政府から出された改革案であったはずである。
ところが、蓋を開けてみれば、本法案は、①退去強制手続関連の罰則を多数創設し、②難民申請中の強制送還を一部解禁し、③難民に準ずる「補完的保護」の範囲もむしろ極めて限定的に設定し、また、④在留特別許可における原則不許可類型を設定し、さらには⑤一般面会の原則録画制度を新設するなど、全体として外国人や被収容者の権利を広汎に制限する一方、入管収容の期間の上限設定や短縮、司法審査の導入、難民認定制度自体の適正化といった抜本的改革はおしなべて見送っている。まさに、入管当局の権限強化を一方的かつ徹底的に図るだけの内容であり、当初の目的から乖離していることに、驚きを禁じ得ない。
当会の会長声明で従前述べてきたとおり(2019年10月31日、2020年6月22日、同年12月21日付各会長声明)、長期収容問題の解決のためには、入管収容制度自体の抜本的見直しに加え、難民認定基準や在留特別許可基準の適正化・透明化・公正化といった方策こそが、まずもって進められなければならず、厳格な要件と手続を法律で直接に定めることによって、恣意的な行政を抑制することが不可欠である。
世界人権宣言前文は「人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人権保護することが肝要である」と謳っている。肝要なのは「法の支配」である。本法案は、入管の「裁量による支配」を基本的なスタンスとし、これをさらに拡大しようとしている点ですでに出発点から誤っており、もはや部分的な手直しによる対応は不可能といわざるを得ない。
当会は本法案につき、抜本的な見直しを行うことないしは直ちに廃案とすることを求める。

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