東京弁護士会

憲法第53条後段に基づき、速やかな臨時国会の召集を強く求める会長声明

2021年09月09日

東京弁護士会 会長 矢吹 公敏

2021年7月16日、憲法第53条後段の規定に基づく、衆議院議員136人の賛同議員の名簿を添えた臨時国会の召集決定を求める要求書が衆議院議長を経て内閣に提出された。加藤勝信内閣官房長官は9月1日の記者会見で、臨時国会召集の可能性を否定しなかったものの、「召集時期については(憲法で)触れられておらず、内閣に委ねられている」と述べた。現状では、自民党総裁選が9月17日から9月29日の間に行われ、衆議院議員の任期満了が10月21日となっているところ、臨時国会は召集されないか、されるとしても内閣総理大臣指名か解散のための形式的召集に留まる見通しであると報道されている。
憲法第53条後段は、臨時国会について「いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と定める。召集の具体的な期限及びその会期は明文で定められていないが、国会の会期について立法府の少数派の意思を尊重し、立法府による行政監視機能を全うさせる同条後段の趣旨に照らせば、内閣には、臨時国会を合理的期間内に召集する義務があるといえ、これを徒過して召集を遅延することは憲法違反となる。
2020年6月10日の那覇地裁判決は「憲法第53条後段に基づく内閣の臨時会の召集については...単なる政治的義務と解されるものではなく、憲法上明文をもって規定された法的義務と考えられる。」「...召集の要求がされてから合理的期間内に臨時会を召集する義務があると解される」として、合理的期間内での召集が内閣の法的義務であると認め、また、2021年4月13日の岡山地裁判決も、憲法第53条後段に基づく召集要求がされた後、内閣には「召集手続等を行うために通例必要な合理的期間内に臨時会を召集する法的義務があるものと考えられる。」と同旨の判示をしている。
衆議院解散の場合、選挙の日から30日以内(憲法第54条第1項)、衆議院議員の任期満了や参議院の通常選挙の場合も、その任期満了あるいは任期が始まる日から30日以内(国会法第2条の3)での国会召集が定められ、選挙によって議員が入れ替わる場合でも30日以内の召集が義務づけられている。しかし、憲法第53条後段に基づく召集の要求がなされた日から既に50日以上を経過したにもかかわらず、現内閣は未だに臨時国会を召集していない。明らかに合理的期間を徒過しており、憲法違反であるといわざるを得ない。
臨時国会を召集しないことは、内閣に対する国会の監視機能を損ない、憲法の定める三権分立に違反するものである。安倍内閣においても2015年、2017年に同様の事態が起きており、このような事態の常態化により憲法規範の空洞化が進むことは、立憲主義の見地からも到底看過することはできない。
よって、当会は、内閣に対し、速やかに臨時国会を召集するよう強く求める。また、国会に対し、今後、国会法等関係法を改正し、臨時国会召集の具体的期限等を定める規定を置くことを求める。

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