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出入国在留管理庁による弁護士から援助を受ける権利に対する侵害及び弁護士業務への妨害に抗議する会長声明

2021年09月21日

東京弁護士会 会長 矢吹 公敏

2021年3月6日の名古屋入管収容場で発生したスリランカ国籍ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の死亡事件につき、本年9月10日、遺族ら代理人である、当会所属の弁護士らを通じた申入れにより、収容場内の状況を撮影したビデオ映像の開示を遺族らが受けることとなった。
しかし当日、出入国在留管理庁(以下、「入管庁」という。)は、事前の申入れにもかかわらず、遺族らに同行した弁護士らの同席を拒否した。
当会は、2021年5月17日付会長声明において、本死亡事件の真相解明が入管法改正法案審議のために不可欠であるにもかかわらず、その解明を頑なに回避しようとする政府の審議態度を理由に、同法案の廃案を求めた。今回の入管庁の対応は、本死亡事件の真実解明を忌避する政府の態度を改めて浮き彫りにしたものといわざるを得ない。
特に今回のビデオ開示は、遺族らの弁護士を通じた申入れに応じて実施されたものであり、弁護士のビデオ開示への同席は本死亡事件の法的責任を政府に問うための事実調査及び交渉の一環として位置付けられ、弁護士法第3条第1項の定める「法律事務」に該当する。
この点、国連の「弁護士の役割に関する基本原則」は、第1項において、すべて人は、自己の権利を保護、確立するために自ら選任した弁護士の援助を受ける権利を有すると定める。また、同原則第16項(a)は、政府は、弁護士が、脅迫、妨害、嫌がらせ、あるいは不適切な干渉を受けることなく、その専門的職務を全て果たしうることを確保すると定めている。
上記同席拒否は、真実解明の忌避だけでなく、弁護士の援助を受ける遺族らの権利を侵害するとともに、弁護士の職務自体に対する妨害ないし不適切な干渉でもある。
当会は、今回の入管庁による代理人弁護士らの同席拒否等に対して強く抗議するとともに、政府に対し、弁護士法と国連の基本原則に則り、速やかに弁護士同席の下で遺族らにビデオ開示を実施し、さらに事案の真実解明のために必要な全ての方策を実施するよう求める。

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