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出入国在留管理庁の公表資料に抗議する会長声明

2021年12月27日

東京弁護士会 会長 矢吹 公敏

出入国在留管理庁(以下「入管庁」という。)は、2021年12月21日、「現行入管法上の問題点」と題する資料を公表した。
上記資料の14頁の「身元保証制度の運用状況」という項において、「収容されている外国人の仮放免に当たり、身元保証人を付ける例が多いが、保証人の中には多数の逃亡者を発生させている例がある。」と述べ、「【多数の逃亡者を発生させている身元保証人の例】 ・ 弁護士A:約280人中約80人逃亡 ・ 弁護士B:約190人中約40人逃亡 ・ 弁護士C:約50人中約20人逃亡 (中略)※ 平成26年1月~令和3年3月末までに判明した概数」と表記している。
仮放免を受けた者が所在不明になった背景には、数年にもわたる無期限収容や、今年3月の名古屋入管内での死亡事件で明らかになったような施設内の劣悪な処遇など、入管収容上の問題があるにもかかわらず、あたかも身元保証人となった弁護士らに逃亡の責任があるかのように言及することは、弁護士が逃亡を助長しているかのような印象を与えかねないものであり、不当かつ不適切なものといわざるを得ない。
当会、日本弁護士連合会、国連機関及び各種NGOは、国際人権基準などに照らして、無期限収容も含め、日本の収容制度や難民認定制度の様々な問題を再三指摘してきた。現在も、多くの弁護士らが外国人の無期限収容からの解放を支援する活動に取り組んでいる。今回の公表資料の上記記述は、かかる弁護士らの人権擁護活動に悪影響を及ぼすものである。
上記公表資料の他の記載についても重大な問題が存在するところであるが、当会は、入管庁に対し、まずは14頁の「身元保証制度の運用状況」の項につき抗議し、この項を直ちに削除してその旨を周知することを求める。

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