東京弁護士会

裁判員制度に関する会長声明

2004年01月08日

東京弁護士会 会長 田中 敏夫

1. 現在司法制度改革推進本部においては、通常国会への裁判員制度に関する法案提出に向けた最後の準備を行っている。他方、自由民主党及び公明党は両党間で与党プロジェクトチームを結成し、裁判員制度の最終的制度設計の調整を行なっており、多くの国民はその結果に重大な関心を持って注視している。

2. 昨年10月28日発表された司法制度改革推進本部「裁判員制度・刑事検討会」の井上正仁座長試案は、合議体について裁判官3人、裁判員4人を基本とし、現行の刑事裁判の枠組みを崩さず、裁判員を付加するというもので、真に国民参加の制度というには程遠いものであった。その直後の新聞各紙が一斉に批判したことは当然のことである。
自由民主党は、昨年12月16日発表したとりまとめにおいては、裁判官3人、裁判員4人程度としており、現行刑事裁判の延長として裁判員制度を位置付けているものと言わざるを得ない。

3. 裁判員制度は、「裁判内容に国民の健全な社会常識が反映されるようになることによって、国民の司法に対する理解・支持が深まり、司法はより強固な国民的基盤を得ることができるようになる」(司法制度改革審議会意見書)のであって、裁判員の主体的・実質的関与が可能となる制度創りを目指すことが肝要である。そのためには、選任された裁判員が参加しやすいこと、訴訟手続が分かりやすいこと、素人が評議に気後れすることなく参加できることが求められる。
当会は制度設計にあたり下記の点を特に要望するものである。



(1) 裁判の合議体の数としては、裁判官1人又は2人、少なくとも裁判員は6人以上とすること
(2) 裁判員に分かりやすい証拠調べとするために調書でなく証人尋問を中心とし、自白の信用性など供述調書の作成過程が争点となった場合の判断を明確にするために取調べ状況の可視化(録画・録音)を実現すること
(3) 裁判員が出来るだけ短期間の裁判手続への関与で済むために、第1回公判期日前に十分な準備期間を確保し、検察官による全面的証拠開示や、被疑者・被告人の保釈の原則化など勾留制度の改革をすること
(4) 裁判員を終えた者の守秘義務は、評議における個人の意見、職務上知り得た他人の秘密に限定し、罰則は懲役刑でなく罰金刑程度にとどめること

4. 当会は、この裁判員制度が今次司法制度改革の最重要課題であると認識し、21世紀の日本社会において真に国民参加の制度として機能し、かつ、国際的にも高い評価を受ける制度となるよう将来に亘ってあらゆる努力を払う所存である。

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