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「ヒロシマ・ナガサキ」の平和祈念の日に寄せる会長談話

2023年08月04日

東京弁護士会 会長 松田 純一

今年も8月6日に広島、8月9日に長崎において、それぞれ78回目の平和祈念の日を迎えます。当会は、原子爆弾による犠牲者を悼むとともに、核兵器の廃絶と世界の恒久平和の実現に向けて努力していくことをここに誓います。
第二次世界大戦後、今日に至るまで、世界各地の紛争がなくなることはありませんでした。昨年2月に始まったロシアによるウクライナへの侵攻も未だに平和的解決の糸口が見えない状況です。
この侵攻の過程において、ロシアのプーチン大統領が核兵器使用を示唆したことや、ロシア軍が原発を占拠したことは大きなニュースとなり、世界に衝撃を与えました。
他方で、日本が広島及び長崎において被爆して以降、核兵器は紛争においては使用されることなく今日に至っています。核兵器は、間違いなく大量殺りくが可能な非人道的兵器です。唯一の戦争被爆国である日本は、その兵器の凄惨さを経験した立場において、今こそ、核兵器廃絶に向けて、世界の恒久平和実現のためにリーダーシップを発揮すべきではないでしょうか。
残念ながら、日本は核兵器禁止条約に参加しておらず、5月のG7広島サミットで発出された広島ビジョンでも核兵器禁止条約への言及はありませんでした。こうした、日本の姿勢及び広島ビジョンの意義には少なくない批判が寄せられています。当会は、2021年の「核兵器禁止条約の発効にあたり、改めて核兵器の廃絶を求める会長声明」や2022年の「「ヒロシマ・ナガサキ」の平和祈念の日に寄せる会長談話」などにおいて、従来から、同条約の早期加盟の必要性を指摘し、早急にオブザーバー参加することを政府に求めてきました。政府は、今後二度と核の犠牲者を出さぬよう、唯一の戦争被爆国として何ができるのか、改めて考える必要があります。一方的な制圧によるのではない、持続可能な平和社会の実現に向けた具体的行動が世界から日本に対して求められています。
そのためには、国民主権のもと、国民一人ひとりが日本の立場を理解し行動することが必要であり、国民において、溢れかえる情報の中から、自分自身の判断で情報を選び取り、判断する力が求められます。
国民各自がこのような判断をするためには、表現の自由や知る権利をはじめとする基本的人権が尊重されていることが必要不可欠です。
当会は、あらためて基本的人権を擁護し社会正義を実現するという弁護士法に定められた弁護士の使命を果たして、国民主権の基盤を強化し、平和の尊さと核兵器の廃絶を訴え続けていきます。

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