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JR不採用問題の全面解決と政治合意の履行を求める会長声明

2011年06月20日

東京弁護士会 会長 竹之内 明

最高裁判所第3小法廷は、本年6月7日、1987年の国鉄分割・民営化の際に労働組合の組合員がJRに採用されなかったことを巡る訴訟につき、組合差別があったことを認めて組合員への損害賠償を鉄道・運輸機構に命じた原審の結論を支持する決定をした。

国鉄の分割・民営化に伴うJR不採用問題は、その規模の大きさにおいても、また、24年間もの長きにわたって争われてきたという点においても、戦後最大の労働争議であるといえる。解雇された組合員とその家族がこの間に受けた苦しみは筆舌に尽くし難いものであったと思われ、この問題はもはや、労働問題の域を超えて、人権・人道上の観点からも解決すべき問題である。

昨年4月には政府と民主党・社会民主党・国民新党・公明党との間で政治解決に関する合意が成立したが、これは、この問題の1日も早い解決に資するものとして高く評価できるものであった。この合意は、不採用労働者に対する金銭補償とともに、雇用問題の解決として、政府がJRに対し200名ほどの採用を要請し、かつ、政府も雇用確保に努力することが内容となっているが、その実現が進んでいるとはいえず、かかる事態は甚だ遺憾である。

JR各社に対しては、政治解決が合意されたこと、及び、組合差別があったことを最高裁が認めたことの重さを考慮し、かつ人道的な観点から、採用に努力することを強く期待したい。

また政府に対しても、組合員らの雇用を確保すべく、JR各社を積極的に指導しかつ必要な援助や措置を講じるよう要望するものである。