東京弁護士会

男女平等に関する訴訟支援制度継続についての要望書

要 望 書

平成12年1月17日
会長 飯 塚 孝

要望の趣旨

平成11年度において、東京都が、8月、9月の2ヶ月間試行した、「男女平等に関する訴訟支援制度」を、平成12年度以降、正規の制度として定着させ、予算措置を講じられるようお願いいたします。

要望の理由


日本の社会には、性別による固定的役割分担意識など、男女不平等の偏見や慣習が根強く残っています。そのため、憲法で保障された個人の尊重、両性の平等が実現されていません。
現在、夫が妻に暴力を振るう家庭内暴力などのドメスティック・バイオレンス(DV)や職場などのセクシャルハラスメントが社会問題となっています。これらの問題も、男女を対等なパートナーと見ない共通の意識に基づくものいえます。
東京都は、そのような観点から、「男女平等に関する訴訟支援制度」を試行し、(財)法律扶助協会(以下、扶助協会という)に対し、平成11年度において8月、9月の2ヶ月間200万円の予算を計上しました。当会の両性の平等に関する委員会は、それに対し、積極的な支援態勢を取りました。それをきっかけに、扶助協会の中に、「セクハラ・DV特別相談」が創設されました。
扶助協会で民事扶助が認められるためには、「勝訴の見込み」と「一定の基準以下の資力要件」を満たす必要があります。しかし、セクハラ事件は、立証が困難な事例が多く、通常の民事扶助基準を満たさない場合もあり、又、相談者の勤務形態もパート・派遣社員のみならず、正社員も被害者であることから、資力要件についても緩和が必要となります。東京都の寄付による試行は、一般の民事扶助に該当しない場合でも、このような事件の場合は対象としましたが、2ヶ月間の試行期間内において、事件受任件数は14件にのぼりました。しかし、上記予算内では9件分しか賄えず、残りの6件は一般の民事扶助で補うことになりました。
DV事件は、生命身体に対する緊急な危険性があり、又、セクハラ事件は、半数以上が退職に追い込まれ、しかも20代、30代という若い世代が被害者となるなど深刻な事態を引き起こしています。一般の民事扶助より要件を緩和する必要のあるこのような事件は、自治体等の経済的支援制度がなければ維持していくことは困難です。
昨年6月、男女共同参画社会基本法が成立しました。性別に基づく差別のない、男女が、あらゆる分野で対等な立場で参画し、責任を分かち合う社会の実現は、21世紀の我が国の社会を決定する最重要課題として位置づけられています。セクハラ・DV問題は、男女共同参画社会の実現における阻害要因となっています。
東京都の「男女平等に関する訴訟支援制度」は、平成12年度に制度として設けられるかどうか微妙な状況にあると聞いております。東京都の財政が厳しいことはわかりますが、本制度の重要性に鑑み、是非、平成12年度以降、正規の制度として定着させ、男女平等の実現をはかる推進力となりますよう、強く要望いたします。
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