東京弁護士会

法曹一元制度の早期実現を期する決議

1999(平成11)年12月20日

1.民主国家における司法は、主権者たる国民の叡智と良識を反映し、国民から信頼され、国民が納得する制度でなければならない。そして、そのような信頼と納得は、裁判官が権力におもねることなく常に国民の視点と常識を持ち、裁判官の独立が実質的に保障されてこそ、得られるものである。
ところが、現行の裁判官任用制度(キャリアシステム)においては、


(1) 裁判官は判事補として若年から裁判所という限られた社会の中で養成されるため、一般社会人としての経験に乏しく、市民の意識とかけ離れ、一般に公権力への追随姿勢が見られ
(2) 個々の裁判官の任地異動や昇給・昇格が司法行政によって統制されているため、それが無言の圧力となり、司法行政当局の意向に添う裁判となる傾向があり、裁判官の独立が実質的に侵害されているといった弊害が見られる。

2.本来、裁判官には、法律家としての専門的知識とともに、(1)鋭い憲法感覚と高い人権意識があり、(2)社会常識や市民感覚に富み、(3)裁判所という組織に埋没することなく常に独立性を堅持できる、といった資質が求められている。
しかしながら、現行の裁判官任用制度においては、このような資質を備えた人材を得ることは困難であり、早急に法曹一元制度を実現させなければならない。

3.われわれが実現を目ざす法曹一元制度は、

(1) 市民も加わった裁判官推薦委員会が、社会経験豊かな弁護士を中心とする法律家の中から、もっとも適切と思われる人を公平・透明な手続で裁判官として選任しようとする制度であり
(2) 任命された裁判官は、すべて同等とされ、司法行政による不公平な待遇差別や意に反する任地異動などを受けることなく、裁判官会議を実効あるものとして復活させ、自由で独立した身分が形式的にも実質的にも保障される制度でありまさしく「市民による、市民のための」司法を実現する制度である。

4.日本弁護士連合会は、1990(平成2)年以来、三度にわたる「市民のための司法改革宣言」において、「法曹一元制度の実現」をその行動指針としてきた。
1999(平成11)年7月に始まった政府の司法制度改革審議会においても、法曹一元制度は主要なテーマとして論議されようとしている。もはや法曹一元制度の実現は現実の課題である。
われわれは、法曹一元制度の実現のために、弁護士会内部の体制作りと具体的な運動を、全ての国民とともに進めることを決意するものである。
以上の通り決議する。

以 上

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