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三 当会の会員向けガイドラインなどの解説

1 対応指針とは

「弁護士等の職務における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(以下「対応指針」)* 4は、当会会員である弁護士向けに、障害のある市民に適切に対応するために必要な事項について定めたガイドラインです。

2 弁護士等にとって遵守すべきものであること

弁護士も日々の業務の中で、障害のある市民から相談を受ける場面があります。しかし、聴覚障害のある市民が法律事務所に法律相談を申し込んだものの、「コミュニケーションがとれないのでお断り」と相談拒否された事例が散見されます。
差別解消法8条では、事業者に対して障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮義務を定めています。
障害のある市民に対して法律相談や法律事務等のサービスを提供する場面では弁護士も事業者にあたり、弁護士は差別解消法に基づき対応することが求められます。例えば、相談者に障害がある場合、障害を理由として法律相談や事件の受任を拒否することは禁止されます。また、相談者に対する合理的配慮の提供を行う法的義務があります。しかし前述のように、現状は理解がまだ不十分です。
ところで、同法11条「主務大臣は...第8条に規定する事項に関し、事業者が適切に対応するために必要な指針を定めるものとする。」という規定に基づき、省庁は指針を定めています。民間事業者は経済産業省等の事業を所轄する省庁等が作った指針をガイドラインとして参考にしています。
当会も対応指針を定め、2018年3月22日から施行されました。その後、同法8条2項に基づく合理的配慮義務が努力義務から法的義務化されたことに伴い、改正を検討しています。
対応指針は、同法8条に基づく事業者における障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供に関して、弁護士、弁護士法人、外国法事務弁護士、及び外国法事務弁護士法人(並びにこれらの者の事務所に勤務する者(以下「弁護士等」))が適切に対応するために必要な事項を定めたものです。
すなわち、対応指針は、弁護士等にとって一定のガイドラインとして問題やトラブルが起きて市民等から苦情が寄せられた場合にも参照されるものです。

3 対応指針の内容の確認・参考として適切な対応を

対応指針には、障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方や、具体的にどのような行為が障害を理由とする不当な差別的取扱いに当たりうるのかの具体例、合理的配慮等の具体例が挙げられています。
対応指針は、当会会員サイトの東京弁護士会法規集に掲載されています。障害のある市民の法律相談等を受ける可能性もある以上、対応指針の内容を確認し、対応指針の内容を念頭に、適切に対応することをお願いします。

*4:弁護士等の職務における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応指針
https://www.toben.or.jp/members/kaisoku/act/frame/frame110001412.htm