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「布川事件」無罪判決に関する会長声明

2011年05月24日

東京弁護士会 会長 竹之内 明

本日、水戸地方裁判所土浦支部は、いわゆる「布川事件」について櫻井昌司氏及び杉山卓男氏に対し無罪を言い渡した。

この事件は、1967(昭和42)年8月に茨城県利根町布川で発生した強盗殺人事件について犯人と疑われた櫻井氏と杉山氏が、代用監獄における取調べの過程で自白をさせられたものの公判では今日まで一貫して無実を叫び続けてきた事案である。

この度の無罪判決は、事件発生後43年以上も冤罪の惨禍に苦しんできた櫻井氏と杉山氏の無実の訴えに対して裁判所がようやく応えたものである。正義の実現に長い時間がかかったとはいえ、この結論を高く評価したい。

本件では、捜査機関による自白の強要や証拠隠しの存在がつとに指摘されてきており、このことは冤罪を防止するための制度改革の必要性を強く示すものである。

当会は、検察官がこの無罪判決を容れて控訴をしないことを求めるとともに、取調べの可視化(取調べ全過程の録画)、人質司法の打破、検察官手持ち証拠の全面開示、代用監獄の廃止等の刑事司法の抜本的改革を実現するために全力を尽くすことを決意する。