東京弁護士会

死刑執行に関する会長声明

2012年09月28日

東京弁護士会 会長 斎藤 義房

本年9月27日、仙台拘置所と福岡拘置所において各1名の死刑囚の死刑がそれぞれ執行された。民主党政権では、2010年7月2人の死刑囚を執行した以降、本年3月、8月に続いて4度目の執行である。滝実法務大臣は、本年6月に就任した以降わずか4ヶ月間に4人の死刑を執行したことになる。 

日本弁護士連合会は、かねてから、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止すると共に死刑冤罪事件を未然に防ぐ措置を直ちに講じるべきである」と主張し、本年2月27日には小川敏夫法務大臣に対して、また6月18日には滝実法務大臣に対して、それぞれ、上記事項を求める要請書を提出している。

国際的に見ると、2010年の国連総会において、死刑執行の一時停止を加盟国に求める3度目の決議が109カ国の賛成多数で採択されており、反対票を投じた国は日本を含め41カ国にとどまっている。また、日本に対しては、国連拷問禁止委員会や国連人権理事会、国連規約人権委員会から死刑廃止に向けた様々な勧告がなされている。ちなみに、2012年5月現在の死刑廃止国は141カ国(10年以上死刑を執行していない事実上の廃止国を含む)、死刑存置国は57カ国であって、世界の3分の2が死刑を廃止ないし執行の停止をしている。

法務省内部で2010年から行われてきた「死刑の在り方についての勉強会」が終了し本年3月に報告書が公表されたが、この場での議論が死刑問題について広く国民的議論を行ったものとは到底言えない。

わが国では死刑事件について4件の再審無罪判決が確定しているうえ、近時足利事件、布川事件について裁判所は再審無罪判決を言い渡し、東電社員殺人事件についても再審開始決定が確定している。さらに、死刑が執行されてしまった飯塚事件についても、精度の低いDNA鑑定が決め手となったとされており、近時の科学的捜査の発達により死刑判決の見直しがなされる可能性が高くなっている。このことは、刑事裁判における冤罪の危険性と死刑の執行による取り返しのつかない人権侵害の恐ろしさを如実に示している。

野田内閣は来る10月1日にも内閣改造を予定していると報道されており、滝実法務大臣は自ら大臣を辞任する旨を表明している。こうした状況において早急な死刑を執行する必要があったのか、更には死刑執行について熟慮を尽したのか、疑問があるところである。

当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議する。あわせて法務大臣に対し、死刑制度の廃止についての国民的議論の開始と死刑執行の停止に向けて誠実な対応をするよう、重ねて求めるものである。

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