東京弁護士会

神戸事件仮退院公表問題に関する会長声明

2004年03月24日

東京弁護士会 会長 田中 敏夫

報道によれば、本年3月10日、関東更生保護委員会が神戸連続児童殺傷事件の加害者である元少年の仮退院を認める決定を行い、同日、法務省が元少年の仮退院について遺族に通知するとともに決定およびこれに至った経過を報道機関に向けて公表したと伝えられている。
このうち、遺族に対する通知について、当会は、本年1月13日付け意見書を発表し、通知が行政裁量によって行われている現状は妥当でなく、多様な立場の意見を徴して法制度の整備を行ったうえでなされるべきであり、特に少年事件については、加害少年の健全育成や家族等関係者の人権にも十分な配慮がなされた法制度とすべく特に慎重な検討がなされるべきである旨述べた。
然るに、今般の法務省の措置は、遺族に対する通知にとどまらず、仮退院の決定およびこれに至った経過を仮退院の当日に公表したというものであり、犯罪被害者に対する支援と別個に考慮されなければならない問題であることが強く銘記されるべきである。
一般に、成人の刑事事件においてすら仮出所情報を報道機関に公表することは極めて異例なことである中で、今回の公表は、少年事件につき、仮退院決定に至った元少年のプライバシーにかかわる具体的な経過についてまで言及したものであり、元少年のプライバシー侵害にあたる可能性が極めて高いものと言わざるを得ない。当会は、法務省に対し、今回の通知及び公表を漫然と先例化することのないよう強く求めるものである。
なお、インターネットに実名、顔写真が掲載されたり、居住地域の探索が行われるなど、元少年の社会復帰が阻害されるのではないかとの危惧が現実化しつつある状況等に鑑み、マスコミに対しては、元少年その他の関係者に新たな人権侵害を生じさせないよう、また、元少年の社会復帰に悪影響を与えないよう、特に慎重な配慮を要望する。

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