坂本堤弁護士一家遺体発見から30年の節目にあたっての会長談話
2025年11月04日
東京弁護士会 会長 鈴木 善和
1995(平成7)年9月に坂本堤弁護士一家3人の遺体が発見されてから、今年で30年の節目を迎えるとともに、1989(平成元)年11月にオウム真理教による坂本弁護士一家殺害事件が発生してから今年11月で36年が経過することとなります。坂本弁護士一家殺害事件を知らない世代の弁護士が増えてきていることもあり、事件を未来に語り継ぐ必要性は高まっております。
当会は、坂本弁護士一家殺害事件を契機として、二度とこのような悲惨な事件が起きることがないよう、1998(平成10)年4月に、弁護士業務妨害対策特別委員会を設置し、暴力的手段等の実力行使によるものに限らず、あらゆる手段による弁護士に対する業務妨害行為の根絶を目指し、被害実態の調査・研究・対策の検討、各機関との情報交換や連携の強化を図るとともに、当会会員が不当な妨害に屈することなく、基本的人権の擁護と社会正義の実現という弁護士の使命を全うすることができるよう、業務妨害の被害に遭った、あるいはその不安のある弁護士の支援を行ってまいりました。
今般、坂本堤弁護士一家3人の遺体がそれぞれ発見された地に「坂本弁護士と家族を救う全国弁護士の会(救う会)」らにより建立された各慰霊碑について、これまで維持管理をしてきた「坂本弁護士と家族を救う全国弁護士の会(救う会)」から引き継ぎを受け、今後は日本弁護士連合会が主体的にこれらを維持管理することになったことも、弁護士業務妨害対策の原点である坂本弁護士一家殺害事件の風化を防ぎ、事件を未来に語り継ぐ一助となるとものと確信しております。
弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とするところ、弁護士業務に対する不当な妨害は、基本的人権に対する侵害行為であり、司法制度ないし法秩序に対する挑戦であって、決して許してはなりません。
当会は、坂本弁護士一家殺害事件を当会の若手会員に語り継いでいく役割を果たしていくとともに、弁護士業務妨害行為を迅速的確に排除し、弁護士業務による市民の基本的人権の擁護と社会正義の実現が阻害されることがないよう、積極的に弁護士業務妨害対策に取り組む所存です。
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