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最低賃金額の大幅な引上げを求める会長声明

2026年05月25日

東京弁護士会 会長 石原 修

2025年に改定された東京都の最低賃金は、時給1226円(引上げ額63円、引上げ率5.4%)である(2025年10月3日発効)。

一方、東京都区部の消費者物価指数(総合指数)は、2020年を100として、2026年4月(中旬速報値)は112.4となっており、前年同月比で1.5%上昇している。ただし、同月の速報値をみると、中東の武力紛争の影響による原油価格の高騰を受けて同年3月に導入されたガソリン補助金などが物価の上昇を緩やかにした側面がある。全体としては収まることのないインフレ基調が続いている。今後は、世界的に石油製品などの価格上昇・供給不足の懸念が生じており、物価はさらに上がる可能性もある。

このように、最低賃金の引上げの効果は、物価の上昇によって打ち消されている部分がある。このため、労働者にとっては家計の収入増加を実感しにくくなっている。

また、労働組合の全国組織が学者と協力して行った調査によれば、物価高の影響も相まって、若者が自立し人間らしく生活するために最低必要な生計費は、東京都北区で月額28万5034円、月労働時間150時間として時給に換算すると1900円と試算されたとの報告もある。

2025年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)には、最低賃金について「2020年代に全国平均1500円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続ける。」という目標が掲げられている。しかし、上記の試算によれば、もはや1500円でも必要な生計費を得るには必ずしも十分とはいえない状況になっている。しかも、最低賃金額の引上げは、労働者全体の賃上げにも繋がり、経済の好循環にも資する。このような状況を踏まえるならば、更なる大幅な最低賃金額の引上げは必要不可欠である。

もっとも、最低賃金額の大幅な引上げは、中小企業の経営に影響を与える可能性が大きいことから、抜本的な中小企業支援策の実施が必要である。価格転嫁を促すため、独占禁止法や中小受託取引適正化法を積極的に運用するとともに、監視等の体制を強化し、中小企業とその取引先企業との間で公正な取引が確保されるようにすべきである。また、社会保険料の事業主負担分の減免など中小企業支援策の大幅な強化拡充も不可欠である。

なお、最低賃金の発効は例年10月初旬とされていたが、2025年は全国的には最低賃金額の引上げを先延ばしにした府県が続出した。東京都の最低賃金においては、このような動きに追随すべきではなく、2025年と同様、本年10月上旬に改定額を発効すべきである。

当会は、中央最低賃金審議会、東京地方最低賃金審議会及び東京労働局長に対し最低賃金額を大幅に引き上げ、速やかに発効すべきことを、国及び東京都に対し大幅な引上げを進めるため中小企業支援策を一層充実強化させることを、公正取引委員会及び中小企業庁に対しては労務費の価格転嫁を可能とする公正な取引を確保する体制の強化等を、それぞれ求める。

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