アクセス
JP EN

消費者庁関連法の成立に対する会長声明

2009年06月08日

東京弁護士会 会長 山岸 憲司

 本年5月29日、消費者庁関連3法(「消費者庁及び消費者委員会設置法」、「消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」及び「消費者安全法」)が成立し、6月4日には消費者庁・消費者委員会設立準備会が設置された。

 複雑多様化する我が国の消費者被害に対しては、迅速な被害救済とともに、予防と再発の防止策が極めて重要であるところ、従来、関係省庁は産業振興・育成を主として組織され、またいわゆる「縦割り行政」のために隙間の被害は放置されるなど、その対応は極めて不十分なものであった。これに対し、日本弁護士連合会は1989年の人権擁護大会において消費者行政新組織の設立を提言して以来一貫してその実現を求めてきた。当会においても、最近では、2008年5月27日、消費者が主役となる消費者のための消費者行政新組織の実現を求める会長声明を発表し、本年2月3日には、各党派の議員を招聘して東京三弁護士会の共催によるシンポジウムを開催し、国会が一致協力して実効性のある新組織を設立されることを求めた。また、各地の弁護士会、消費者関連団体も、消費者行政新組織の実現に向けて、地道な活動を続けてきたところである。

 今回設立が決まった新組織は、まさに消費者の利益の擁護及び増進を目的とするものと明記され、また、法案成立の過程では、多様な意見が反映されて、消費者行政の司令塔としての消費者庁とその監視機能を持つ消費者委員会とが独立しつつ協力して職務にあたるという体制が整えられており、各方面の英知が結集した成果として高く評価するものである。

 当会は、一日も早く新組織が発足することを希望するとともに、附則において今後の検討課題とされた地方消費者行政に対する支援、適格消費者団体に対する支援及び不当な収益のはく奪・被害者救済制度の創設、附帯決議のあった消費者教育の推進、消費者事故情報の集約・公表等についても、早期に実現されることを強く要望する。また、新組織が当初の目的に沿って有効に機能するために、監視をし、あるいは積極的に意見を述べるなど、引き続き全力で取り組む所存である。