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「法曹の養成に関するフォーラム」の議事の公開を求める会長声明

2011年05月23日

東京弁護士会 会長 竹之内 明

本年5月13日、法務省は、法曹の養成に関する制度の在り方について検討を行うため、内閣官房長官、総務大臣、法務大臣、財務大臣、文部科学大臣及び経済産業大臣が、共同して「法曹の養成に関するフォーラム」(以下「フォーラム」という。)を開催する旨を発表した。

このフォーラムは、昨年11月26日に成立した「今後1年間、暫定的に司法修習費用の貸与制を停止し、給与の支給を行う」ことを内容とする「裁判所法の一部を改正する法律」の衆議院法務委員会附帯決議の趣旨を踏まえて開催されるものである。当会は、「昨今の法曹志望者が置かれている厳しい経済状況にかんがみ、それらの者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう、法曹養成制度に対する財政支援の在り方について見直しを行う」との上記改正法の趣旨にしたがって、給費制を含む法曹養成の在り方について、フォーラムで充実した審議がなされ、法曹志望者の減少という危機的事態の解決策が見いだされることを強く願うものである。

ところで、フォーラムにおいては、「会議は非公開とする。原則として、会議終了後速やかに議事録を作成して公表する。」とされている。

しかし、司法の担い手であり、我が国の社会の隅々に「法の支配」を行き渡らせる社会的使命を持つ法曹の養成についての議論は、「法の支配」の受益者である市民がリアルタイムで見聞きすることができる公開の場でこそなされるべきであり、非公開の場で行う合理的な理由はない。また、司法修習生に対する財政援助については、昨年、全国で約68万筆(当会で8万筆)の給費制の存続を求める請願署名が寄せられており、世論の関心も高い。さらに、平成13年に我が国に「法の支配」を行き渡らせるために、21世紀の司法を支えるにふさわしい質・量ともに豊かな法曹を養成することを提言した司法制度改革審議会の議事は公開されていたし、この間法務省において開催された「検察の在り方検討会議」においても別室で同時中継する形式で会議が公開されていた。

よって、当会は、フォーラムを構成する関係諸機関及び有識者に対し、市民に開かれた充実した審理を行うべく、会議を公開することを強く求めるものである。