東京弁護士会

逞しい法曹と弁護士会を目指して~到達点と今後の課題~

2017年01月05日

東京弁護士会 会長 小林 元治

 明けましておめでとうございます。
 会員の皆様におかれましては健やかに新たな年を迎えられたこととお慶び申し上げます。
 現在、東京弁護士会は、全国の弁護士・弁護士会と連携して、社会に弁護士の魅力を発信し、『逞しい法曹と弁護士会を創る』をスローガンにして、以下11の重点課題に取り組んでいるところです。

1 法曹養成制度改革

 昨年の司法試験合格者は1583名と、まず早期に1500人とするとする日弁連方針までほぼ到達し、71期司法修習生への修習手当を創設するため、平成29年度予算に盛り込まれることになりました。裁判所法の改正が通常国会において成立することが必要であり、引き続き関係機関のご尽力を得たいと考えます。また、中・高校生を含む若者が法曹の使命と魅力に共感し、多様で有為な人材が法曹を目指す活動を日本弁護士連合会、東京三会、法科大学院と連携して進めています。

2 民事司法改革

 労働審判取扱支部の拡大など一定の成果を得た最高裁協議を、昨年12月から準備会を開催して家裁・簡裁の充実、IT利用による利用者の利便性確保などに取り組むべく活動を開始しています。証拠法制、判決執行、更には損害賠償法制、弁護士秘匿特権、行政訴訟法改革、法律扶助改革、提訴手数料の定・低額化などの課題と共にグローバルな視点での我が国の民事司法と法曹の養成確保にも取り組んでゆく必要があります。

3 司法アクセスの拡充

 東弁を含む東京三会が設置している法律相談センターについては経費の合理化を図りながら、インターネットによる法律相談予約、弁護士PHONE、昨年7月リリースした市民向けアプリ「ポケ弁」の広報にも力を入れています。
刑事の取り調べの可視化や被疑者弁護第3段階のための刑事訴訟法の改正が実現し、2~3 年後の実施に向けた研修に着手しています。

4 人権課題の解決

 性的マイノリティ等の人権課題に取り組むべく、両性の平等に関する委員会を「性の平等に関する委員会」と名称を変更しました。年間10万件を超える児童虐待は社会問題化しており、児童福祉法改正により弁護士の配置が義務付けられたことに対応して児童相談所への弁護士配置検討WGを立ち上げて、都内の市区町村への需要に対応することとしています。

5 弁護士不祥事対策

 東弁では、ここ数年懲戒申立件数が急増している現状に鑑み、 迅速で効果的な体制をとるため、綱紀・懲戒調査員制度を立ち上げることにしました(11月臨時総会決議)。今年の4月からの稼働に向けて人選を進めているところです。

6 若手会員総合支援

 蒲田と錦糸町法律相談センターにおいて中堅、若手弁護士によるOJT法律相談を実施しています。また、弁護士活動領域拡大推進本部、若手会員総合支援センターの宇宙部会などの新規の活動を全面支援しています。両委員会が開発した「ポケ弁」や「べんとら」をさらに普及させるための広報を行っています。
また、65期以降の会館特別会費を免除しました(11月臨時総会決議)。

7 財務の見直し

 一般と特別会計全体を分析し、管理費の削減や若手会員の経済的軽減策について、財務問題検討WGを設置して検討中であり、年初早々に報告書が提出される予定です。

8 男女共同参画推進

 昨年10月の常議員会決議において、第二次東京弁護士会男女共同参画基本計画を決定しその実行に着手しています。

9 東日本大震災・福島第一原発被災者支援

 東日本大震災から5年を経過した現在もなお、津波被害による新たな街づくりや原発損害賠償請求には様々な課題が残されています。東弁がこれまで行ってきた震災を風化させない活動も予定されています。また、今後予想される首都直下型地震対策として災害対策基金(特別会計として2億円)を補正予算化し、災害対策委員会を中心に防災準備を継続します(11月臨時総会決議)。

10 安保法制と憲法改正

 昨年3月施行された安保法制の憲法上の問題点を今後も訴えつつ、シンポジウム、学習会を継続しています。また、①国家緊急権条項の憲法への導入には人権保障と権力分立の見地から反対の会長声明を、②南スーダンにおける国連平和維持活動(PKO)のために派遣する自衛隊に対し「駆けつけ警護」の新任務と武器使用権限を付与する閣議決定に抗議し、その撤回と安保法制の廃止を求める会長声明をそれぞれ発しています。日本の恒久平和と人権を守る活動への一層の取り組みが求められます。海外での孤立主義や保護主義の動きが加速する中、日本の憲法と平和を守る活動が問われています。

11 東弁の執行機能強化

 東弁は現在約8100名の会員を擁する全国最大の単位会です。東弁において会務が十全に機能して会内民主主義と会務執行が効果的かつ迅速に行われることは、東弁や日本弁護士連合会、更には、司法全体の機能強化にも資する重要課題です。
役員が執行機能を強化できる東弁役員室のある6階の構造見直しを検討します。更なる広報戦略も検討課題です。

 本年も引き続き会員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

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