東京弁護士会

憲法改正手続法案の慎重審議を求める声明

2007年02月27日

東京弁護士会 会長 吉岡 桂輔

 現在、国会では「日本国憲法の改正手続に関する法律案」が審議されている。この法案については、与党と民主党の各担当議員の間で相違点の克服に向けた協議が行われ、本年5月3日の憲法記念日前にも法案成立の可能性が高いとの報道がなされた。これを伝えるマスコミの報道内容は、あたかも法案の問題点が解消したかのような印象を与えている。
しかしながら、これまでの国会における修正論議の到達点を直視すれば、日本弁護士連合会などが指摘した多くの問題点は依然として審議不十分のまま残っており、このまま立法化されれば国民の意思が正確に反映されずに憲法の改正が行われるような手続が作られるとの危惧を禁じえない。
具体的に言えば、(1)憲法改正案の発議方式は、「内容において関連する事項ごと」とされており、複数の事項が一括して投票に付されるという日弁連の指摘する問題点は解決されていないこと、(2)公務員及び教育者の地位利用に対する規制については、罰則を定めないものの運動自体を禁止していること、(3)国民投票広報協議会については、原則として各会派の所属議員数の比率によるとされているため、反対意見の議員の意見が十分反映されないおそれがあること、(4)最低投票率の定めがなく、少数の投票者の意思により改正手続がなされる危険性があることなどである。
さらに、同法案にある国会法の一部改正についても、両院に常設の憲法審査会を設置し国会閉会中の改憲案の審議を行わせることや、両院合同協議会の設置を認めることは各議院の独自性などからも疑義がある。
日本国憲法96条が厳格な改正要件を定めている硬性憲法であることと対比するとき、当会は国会の審議の不十分さを深く憂慮する。
そこで、憲法改正手続法制定の必要性の有無をはじめ、法案の内容についてもいっそう慎重に審議することを求めるため、本声明を発するものである。

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