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イラク特措法2年延長改正法成立に対する会長声明

2007年06月21日

東京弁護士会 会長 下河邉 和彦

 昨日、本年7月末日かぎりで期限切れとなるイラク復興支援特別措置法(イラク特措法)を2年間延長する改正法が、参議院本会議において与党などの賛成により可決成立した。これは、2006年7月に陸上自衛隊がサマワから撤退したのちもなお、自衛隊の活動を継続させることに法的根拠を与えるためのものである。
当会は、過去4回にわたって発してきた会長声明において、イラク特措法そのものが国際紛争を解決するための武力行使及び他国領土における武力行使を禁じた憲法に違反するおそれが強いこと、また、イラク全土が戦闘地域化しているのに自衛隊をイラクに駐留させることは非戦闘地域における自衛隊の活動を予定したイラク特措法に抵触する疑いがあること、などを指摘した。
イラク問題については、イラク侵攻を正当化する理由とされた大量破壊兵器の存在やフセイン政権とアルカイダとの結びつきにはいずれも根拠がなかったことが明らかになっており、多国籍軍に加わった国の多くがイラクから撤退している。
しかるに、日本政府は、テロや戦闘が続くバグダッドへの、航空自衛隊による多国籍軍の軍人・兵士等の輸送を行なってきたことを認めており、これは非戦闘地域での活動を想定したイラク特措法そのものに違反する行為であるばかりか、その他の自衛隊の活動内容については全容が明らかにされない等、イラクにおける自衛隊の活動は、多国籍軍の武力行使と一体化されている可能性が強く、憲法に違反する疑いが極めて強いものである。
このように、イラクにおける自衛隊の活動を認めるイラク特措法は、違憲の疑いが極めて強いものであり、イラク特措法を2年間延長する改正法案が可決成立したことは、極めて遺憾と言わざるを得ない。
当会は、これからも自衛隊の即時完全撤退及びイラク特措法の廃止を求め、取り組みを続けるものである。